総連第20回全体大会討論から |
5月28〜29日に東京朝鮮文化会館(東京都北区)で行われた総連第20回全体大会では、2001年に開催された19全大会以降の活動を総括し、07年までの20期3年間の活動方針を決めた。大会では、19期の活動で得た経験と教訓について15人の代議員が討論した。 民族教育文化
世代交代が完全に進み、もはや3、4世が大半を占める在日同胞社会。民族性の希薄化も進んでおり、民族教育事業は「在日朝鮮人運動の生命線」としてより重要さを増している。 経済状況が厳しい中で学父母、同胞たちはウリハッキョと民族教育を守るため並々ならぬ努力を注いだ。 2000年4月の統合後、学生数を35人増やした名古屋朝鮮初級学校の李章哲校長は、「1口3000円運動」を通じて集めた賛助金4600万円、その他を合わせて1億2000万円の予算を確保。教育環境を整えただけでなく、運営費を大幅に下げ学父母の負担を軽くした結果、生徒、園児数が増えた点について指摘した。 ウリハッキョがない場所で民族教育をいかに継続させるか。そのうえで、午後夜間学校を再開設し、日本の小、中学校に通う48人を網羅した経験を語った朴井愚・総連鳥取県本部委員長の討論は多くの人に感銘を与えた。 01年に統合され3支部傘下の唯一の学校として出発した西播初中級(兵庫県姫路市)では、幼い頃から民族性を身につけさせるための教育に力を入れている。同校の金曙愛教員は、初級部低学年を対象に@口語会話教育A民謡、チャンダン、オッケチュム習得B民俗遊戯体験―などの3つに力を入れた民族性教育を推進し、その経験を生かして昨年4月から高学年でも民族性を身につける運動が進められている事実について具体的に言及した。 民族性を守るうえで地方歌舞団の果たした役割はいつにも増して大きかった。 大阪で初めての女性団長、趙正心さんは、とくに02年の「9.17」以降、日本のフェスティバル公演出演が中断されるなど厳しい状況が続いたが、ある支部の敬老の集いで、こういう時こそ団結しようとの1世たちの言葉に励まされ、さまざまな場所に出向き民族の歌や踊りを披露し、宣伝活動を繰り広げた経験について述べた。 同胞生活奉仕 民族教育文化事業とともに、総連活動の2大中心柱である同胞生活奉仕活動。 宋昌徒・総連大阪府本部委員長は、生野南支部で5年前に開設された同胞生活法律相談センターが、一昨年からNPO法人「コリアンライフサポートセンター」として運営され、年平均260余件の相談を受け付けた事例を紹介。その他にも泉州北、東淀川、八尾柏原の動きについても述べた。大阪では現在、「コリアン法律生活相談センター」と2つのNPO法人センター、20カ所の支部総合センター、3カ所のデイハウス、1カ所の訪問介護事務所を運営しているという。 新しい世代 世代交代が完全に進む中、昨今新しい世代の問題がクローズアップされており、今大会でも新しい世代を在日朝鮮人運動の主力として押し立てていくことを重要な問題として提起した。 この問題に関しては、朝青神奈川県本部の林成根委員長、青商会中央の具本憲会長、女性同盟東京・北支部の文達玉・子女教育部長の3人がそれぞれの立場から討論した。 朝青神奈川では、インターネットやiモードなどのツールを利用して情報を発信するシステムを構築し、多彩な活動を繰り広げた。 青商会では、大阪、広島、東京で「ウリ民族フォーラム」を成功させる一方、遊技業部会、「焼肉塾」などの場を通じて経済ネットワーク構築に貢献した。 女性同盟北支部では、学齢前の子どもたちとオモニたちの交流の場だけでなく、子育て「1年生」のオモニたちが先輩オモニたちに学ぶ場も設けるなど、若いオモニたちの交流の場を広げていった。 支部、分会活動 地域総連活動の拠点である支部と分会活動に関しては、総連福島・中通支部の張泰昊委員長、総連東京・荒川支部東日暮里分会の李益珍分会長がそれぞれ討論した。 中通支部では、「200戸同胞訪問運動」を繰り広げ、月に90戸の同胞宅を訪ねた。30、40代同胞を網羅した「イオ会」を結成し分会活動、学校支援活動、サッカー大会などを開催。1世から若手まで各年齢層に合わせて特徴ある活動を展開し、半数以上の傘下同胞を網羅した。 月2回の分会委員会を欠かさず行ってきた東日暮里分会では、同胞宅を訪ねることに力を注ぎ、人情味あふれる「ミニセンター」のような分会に作り上げた。 [朝鮮新報 2004.6.8] |