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〈どうなる? あなたの年金〉 国民年金の納付やめたいが

 Q 私は、1959年4月生まれの飲食店を経営する男性です。20歳で就職し30歳まで厚生年金保険に加入。退職後、現在の飲食店を開店すると同時に国民年金保険料の納付を始め、今年の4月には年金加入期間がまる25年になります。国民年金の受給資格期間は25年ということを聞きました。景気が悪く生活に余裕がないので国民年金の保険料の納付をやめたいのですが。

 A 国民年金の受給資格期間の25年というのは、老齢基礎年金の受給に必要な最低期間で、自営業者などの第1号被保険者は、日本国内に住所を有し、かつ20歳以上60歳未満の期間は、全期間が強制適用の被保険者期間となります。

 よって、国民年金保険料の納付をやめるということはできません。勝手に納付をやめてしまうと、その期間は保険料滞納期間となります。どうしても保険料の納付が困難であれば、保険料(全額または半額)免除の申請をすることをお薦めします。

 仮りに質問の方が、@60歳まで国民年金保険料を納付した場合、A保険料全額免除の承認を得た場合、B年金保険料を滞納した場合、それぞれ65歳から受給できる老齢基礎年金の年金額は次のようになります。

 @60歳まで国民年金保険料を納付した場合
 保険料納付済期間は40年になるので、満額の老齢基礎年金79万7000円(2003年度の額)が受給できる年金額となります。
 A保険料全額免除の承認を得た場合
 保険料納付済期間は25年、保険料全額免除期間は15年となり、保険料全額免除の承認を得た期間のうち3分の1をかけた5年間が年金計算に反映される期間になるので、次の金額が受給できる年金額になります。
 79万7000円×(25年+5年)÷40=59万7750円
 ※なお、保険料半額免除の承認を得た場合は、承認を得た期間のうち3分の2をかけた期間が年金計算に反映される期間となります
 B年金保険料を滞納した場合
 保険料納付済期間は25年、保険料滞納期間は15年になるので、満額の老齢基礎年金に40分の25をかけた次の金額が受給できる年金額になります。
 (79万7000円×25)÷40=約49万8100円
 ※年金の受給金額の計算において、100円未満の金額は四捨五入されます。

 年金受給額は以上のようになりますが、@、Aの場合とは異なりBの場合、質問の方の年齢が57歳6カ月になると、それ以降は、障害になった場合の障害基礎年金と死亡した場合の遺族基礎年金の受給ができなくなります。

 なぜならば、障害基礎年金の受給要件には、「初診日の前日に、初診日の属する月の前々月までの国民年金(厚生年金保険の加入期間も含む)の被保険者期間があるときは、その被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上なければ支給しない」という要件があり、質問の方の様に保険料納付済期間が25年の場合、57歳6カ月までは要件を満たすことができますが、それ以降は要件を満たすことができなくなり、障害基礎年金が受給できなくなります。遺族基礎年金にも同様の要件があるため、残された子または子のある妻は遺族基礎年金が受給できなくなります。

 このようなことが起こらないよう、国民年金保険料の納付が困難な場合は、保険料を滞納してしまうのではなく、居住地の市区町村の国民年金担当窓口に申出て、保険料(全額または半額)免除の申請をし、承認を受けるようにしてください。(韓鐘哲、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー)

[朝鮮新報 2004.4.13]