「特定船舶入港禁止法案」禁止求め東京、近畿、東海で相次ぎ緊急集会 |
「特定船舶入港禁止法案」に反対する在日朝鮮人緊急集会が3月26日東京、30日には近畿、東海地方で開催された。参加者らは日本当局の対朝鮮敵視政策を糾弾し、朝・日平壌宣言の精神を踏みにじる「改正外為法」の即時撤回と在日朝鮮人の人権を蹂躙する「特定船舶入港禁止法案」の国会提出中止を強く求めた。 非人道、国際条約踏みにじる悪法 東京での集会(千代田区の日本教育会館)には、南昇祐総聯中央副議長と関東地方の総聯本部、支部活動家、同胞らが参加した。
報告をした南昇祐副議長は、日本の右翼保守勢力の一連の動きは、米国の対朝鮮孤立圧殺政策と核戦争挑発策動に加担し、朝鮮の「体制」を崩壊させようとする目的から出発したもので、日本の軍事大国化と自衛隊の海外進出を合法化しようとする企図が隠れていると指摘した。 また、「特定船舶入港禁止法案」は、在日同胞の初歩的な人権と生活権を蹂躙し、祖国往来の道を遮断することによって家族、親戚との面会をも遮る非人道主義な法案であり、さらに、港湾使用において不平等な扱いを禁じている「港湾法」と、各国の船舶に対する均等な対応を定めた条約にも背く、国際慣例をも無視した悪法だと述べた。 続けて、日本当局は平壌宣言の基本精神と原則に戻り、対朝鮮敵視政策と総聯を抑圧、規制することを即時中断すべきだと主張しながら、法案の撤回に向けて断固たたかっていこうと強調した。 集会では、日本人士の連帯あいさつ(要旨別項)に続き、同胞各界の代表らが発言。「特定船舶入港禁止法案」の不当性を糾弾し、同胞らの団結した力で民族の尊厳と神聖な権利を守っていくことを表明した。 集会では、「特定船舶入港禁止法案」に反対する日本当局に対する要請行動を展開していくことを決定。さらに、要請文、要請団構成案を採択した。 一方30日、近畿地方集会が総聯大阪府本部で、東海地方集会が名古屋朝鮮初級学校で、それぞれ開かれた。 集会では、報告に続き、日本人士の連帯あいさつ、同胞らの討論などが行われ、日本政府に送る抗議文と抗議団構成案が採択された。 東京集会での発言から 「万景峰号」を運航停止にするということは、在日朝鮮人の人権蹂躙のみならず、日本自身のモラル、人道性、道義性を自ら世界の前でかなぐり捨てる行為だ。 いま日本がしなければならないのは、朝鮮に対する経済制裁や圧力ではないはずである。6者協議で核問題も含め米朝間の冷戦構造を断ち切るために、日本は積極的に努力する立場にある。同時に平壌宣言の履行により、拉致問題の解決を含め、日本の過去の問題をキチンと清算することで、日朝関係を正常化することに全力を注ぐべきである。この大事な時期に、朝鮮との敵対関係を強化してはならない。 在日朝鮮人の皆さんと良心をもつ日本人とが、より一体となって闘いを展開していかなければならない。(清水澄子、朝鮮女性連帯日本婦人連絡会代表) 改正外為法や「特定船舶入港禁止法」は、朝鮮に対するあからさまな敵意の表明であるばかりか、在日朝鮮人に対する人権侵害でもある。平壌宣言の合意事項にも明確に反するもので、日朝間の懸案事項の解決を遠ざけるものだ。 基本的人権にかかわる問題を、そもそも取引の道具に利用するような対応は、それ自体が人間の尊厳に対する冒とくだと言わざるをえない。 いま、一番必要なのは植民地支配の謝罪と清算、国交正常化と合わせて、国際人権規約や民族教育権にかかわる国連勧告の理念などを完全に実現すること。そうしてこそ、日朝間の懸案は包括的な解決が可能である。(横堀正一、朝鮮の自主的平和統一支持日本委員会代表委員) まず、問題提起したいのは第1に、排他主義の露骨な表現であり、社会的弱者に対する刃だ。日本を滅ぼすであろう法案と言える。 第2に、この法案を「外交のカード」と捉える見解があるが、必要なのは真摯な態度だ。朝鮮植民地支配という過去の問題、戦後の半世紀にわたる責任回避の歴史を見落としたままの「カード」などありえない。 第3に、この法案成立の動機が日本人拉致問題、または被害者たちの救出であるといわれているが、はたして拉致された日本人やその家族が戻ってくるのか。論理矛盾も甚だしい。 法案がいかに愚かなものであるか、多くの人々に訴えていかなければならない。(野田峯雄、ジャーナリスト) [朝鮮新報 2004.4.2] |