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同胞社会支える「材料」

 46回目の朝鮮大学校卒業式に足を運んだ。去年に続いての取材だったが、やはり何度見てもいい。

 卒業証書授与の際、一人ひとり名前が呼ばれ、「イェ!」と大きな声で答える学生たち。途中で思いっきり気合の入った声が混ざると、場内からは歓声と笑い声が飛んだ。卒業公演では男子学生全員が出演した迫力ある合唱が披露されたが、その歌声に合わせて楽しそうに腕を振るオモニたちの姿も見られた。

 その中の一人に話を聞くと、「朝大独特の雰囲気の式になっていて楽しい」と笑顔で語ってくれた。

 学部別に行われた祝賀宴では、初級部1年から朝大までの16年間、寄宿舎生活を送ってきた学生、編入班の学生、親の後を継いで教員や専従活動家になる学生らが紹介され、親と共に歌をうたったり、父母に捧げる手紙を読んだりした。

 「経済的に苦しいのに、最後まで送ってくれて感謝しています」「オモニのような立派な教員になりたい」と涙し、父母たちに感謝の意を表す卒業生たち。彼らは4年間の思いを胸に、それぞれの道へと旅立つ。専従活動家や朝鮮学校の教員、総聯傘下の企業や団体、海外留学、スポーツ専門分野での資格獲得、弁護士や司法書士などスペシャリストを目指す学生、日本の大学院を目指す者など、その道もさまざまだ。

 最近、多方面で活躍する朝大生が多いとよく聞く。有線チャートの月間ランキングに4週連続チャートインしているインディーズバンドの「カネコ」(00年8月結成)。在日のバンドグループで、4人みんなが朝鮮学校出身者。その内の2人は朝大卒だ。在日コリアンの新しい世代の活躍の場は確実に広がっている。

 21世紀の同胞社会にどう貢献していくのかを模索する、新世代の姿を朝大卒業式で垣間見た気がした。若い世代の力が、同胞社会の未来を着実に支えていく材料となればいい。そんな事を思った。(c)

[朝鮮新報 2004.3.16]