セセデ問題協議会、3月中旬に建議書提出へ |
総聯中央常任委員会の諮問機関「セセデ(新世代)問題協議会」(会長=李相大茨城県商工会会長、朝鮮大学校同窓会会長)の第4回会議が2月23、24日にかけて東京都内で行われた。協議会は今後同胞社会を担う新世代の民族性を守り、彼らのニーズと志向に合った同胞コミュニティを築いていくための総聯の政策と活動で提起される懸案問題を研究、討議して建議書としてまとめ、3月中旬にも総聯中央常任委員会に提出する。昨年1月の発足から約1年。今までの活動や討議の過程を整理した。 3200人アンケート 同協議会委員は総聯中央常任委員会が任命した総聯本部、支部、商工会、朝青、女性同盟、青商会、留学同をはじめとする傘下団体の代表と同胞有識者、専門家ら26人。諮問テーマは@新世代が主人公になるような21世紀在日同胞社会の新しい姿A新世代が主人公になる同胞社会を構築するうえで総聯が果たすべき役割についての2つだ。@は新世代の民族性、新世代の同胞コミュニティ、新世代の祖国―の内容、Aは新世代の人材育成、新世代が求める組織のスタイル―の内容をもって論議が進められている。 その前提としてまず現状を正確に把握するために、新世代といわれる10〜40代同胞の民族性、同胞社会、祖国、総聯組織に対する意識を調べた。アンケート調査は昨年5〜7月にかけて各地の朝鮮高級学校、朝鮮大学校、朝青、女性同盟、青商会、留学同など各団体の協力を受け、生徒、同盟員、会員約3200人を対象に行われた。 第2回会議(昨年9月)ではその調査結果をもって新世代の意識を分析し、「新世代の民族性」「新世代の同胞コミュニティ」「新世代が望む組織スタイル」「新世代と祖国」の4テーマ別に総聯活動で提起されている問題、解決策について検討を重ねた。とくに新世代が備えている民族性、彼らが望む同胞社会、総聯の姿がどのようなものかをアンケートの調査結果をもって議論し、第3、4回会議では総聯中央に提出する建議案に基づいた討議を行った。 向こう3年間念頭に
建議案では、新世代の思考とそれを実現するための焦眉の課題をまとめたうえで、組織が講じるべき対策について民族教育、同胞コミュニティの形成、同胞大衆組織としての組織のあり方などを項目別にまとめている。対策は向こう3年間を念頭に置いたものだ。 年間1万人が日本国籍を取得し、世代交代も進むなか、新しい世代の民族性育成は焦眉の課題だ。その空間としての民族教育、とくに朝鮮学校の強化策に対する委員らの関心は高い。多くの学校が財政難、生徒数減少という厳しい現実に直面しているなかで、どうすれば学校を守り、経営を軌道に乗せることができるのか。総合的な対策をどう描くべきかという問題の抜本策から生徒減少と運営問題解決のための具体策が話し合われている。 とくに、学校の運営問題については朝鮮学校をはじめとする外国人学校の法的地位を確立する緊急性、重要性が提起されるとともに、それを実現するための大衆運動と戦術、現実性、効果などが議論されている。また、就学年齢児童、生徒の大半が日本学校に通っている現状から日本学校における民族教育の場の確保についてもその意義を確認し、対策を講じるべきだとの意見も出されている。 アンケートでは多くの同胞が同胞コミュニティに帰属意識を求めている結果が出たが、問題はそのコミュニティをどうすれば広がりをもった、豊かなものに作り上げることができるかだ。 コミュニティ形成のための対策では支部、分会などを中心にした既存の同胞コミュニティを維持、強化する問題とともに、組織と関わりを持たない同胞が興味を持ち、参加できるような新しいコミュニティ作りのための対策が議論されている。例えば、映像、活字メディアを活用した方法論やメディア対策の必要性、情報発信元としての総聯の役割についてなどだ。 議論の拠点として セセデ問題協議会は、「総聯と在日朝鮮人運動をめぐる現在の難局を打開し、同胞社会の未来を切り開くため、新世代同胞の建設的な意見を最大限収れんし、建議書に反映することで、新世代問題に関する全同胞的な論議の拠点としての役割を担う」(会則第3条)ことを活動内容に掲げている。 民族教育、コミュニティの問題とともに活発に議論されているのが、総聯を思想、政見、信仰、社会的地位を問わず、同胞の意思と利益を代弁する同胞大衆組織に作りあげるための組織のあり方だ。アンケートでは回答者の約8割が総聯に対して「民族教育」「同胞の地位向上」「民族性の育成」「経済面でのアドバイス」など生活と密接に関わった問題の解決を求めているが、誰のために、何を成すべきかという活動の原点、とくに新世代同胞の意見をすくい上げる方法論について話し合いが続いている。 どの組織を問わず、その変化、発展を促すのは「人材」だ。会では民族学校、同胞コミュニティの「核」となる人材を発掘、育成するためのシステム論についてそれぞれの持ち場における実践の過程で直面している問題を吐露しながら、中央、地方、各団体別の対策、組織を横断した協力の可能性についても議論が重ねられている。 協議会は今月中旬に第5回会議を開き建議書を確定、総聯中央常任委員会に提出する。(張慧純記者) [朝鮮新報 2004.3.6] |