北南閣僚級会談の舞台裏 |
「ピンポーン」。夜12時すぎ、缶ビールと蒸し豚を持った「客」がホテルの部屋に現れた。3〜6日にソウルで行われた第13回北南閣僚級会談最終日前夜のことだ。 会談が最後の最後までもつれるのは毎度のこと。関係者も記者団も、最終日前夜には徹夜になることを覚悟している。これは、なかば「常識」となっている。 「客」とは、北の記者団の案内を務めた30代前半の南の統一部役員。北側代表団に好評だったOBビールと、ソウルで有名な専門店で購入したという蒸し豚を差し入れに来た。来客を精いっぱいもてなすのは民族伝来の習わしでもある。ホテルの部屋に飲食物はたくさん用意されていたが、その行為に心が温まるのを感じた。 彼は、北の記者団と一緒につまみながら会談の成功を祈っていた。何回もソウルに来ている北の記者らは、統一部の彼とは顔見知りで、とても和やかな雰囲気だった。ほかの部屋でも同じように「来客」があったという。ちなみに、南の代表団が北に来れば、同じような光景が見られる。 一方、会談の当事者らは、共同報道文作成のため夜を徹して慌ただしく動いていた。北側関係者らは、良い結果を出して全民族に希望と喜びを与えるのがわれわれの義務だと繰り返し話していた。会談で双方は、互いを厳しく追及し合ったのも事実だが、最終的には一連の合意をみた。これを受けて記者らも握手で別れた。 一昨年秋、クアラルンプールで開かれた朝・日政府間交渉を取材した。 日本側は拉致と核問題ばかりを取り上げ、何らかの合意をみようとする態度ではなかった。通訳が入りややこしくもあった。 これに比べ、同じ民族同士は「けんか」をしても結局は和解する。固い握手をかわす。そして同じ目標に向かって走ることができる。やっぱり、わが民族同士だと思った。(姜) [朝鮮新報 2004.2.24] |