若い世代の役目 |
先日、総聯西東京本部所属の同胞代表が多磨全生園に入所している同胞元ハンセン病患者たちを慰問するのに同行した。同所を訪れるのは初めてだった。 8人の朝鮮、韓国籍の同胞入所者たちが温かく迎えてくれた。みな明るい表情だった。全国の施設にいた同胞入所者は一時600人を数えたが、現在は220人。多磨全生園には42人が入所している。平均年齢は76歳だ。 会話は弾み、差別問題、朝鮮半島の情勢から拉致問題へと進んだ。 ある女性が言った。 「チマ・チョゴリが切り裂かれる事件が相次いであなたたちも大変でしょう。でも打開していかなければなりませんね。差別をなくすためにも統一を成し遂げなければね…」 ハンセン病患者であること、朝鮮人であること…幾重にも重なる差別を受けてきた言葉は重かった。 「あなたたち若い世代の力で現状を変えなさい」と言われた気がした。慰問にやってきた私たちが逆に励まされた。 慰問を終えた一行のうち、若い男女2人は、「私たち若い世代がもっと歴史的経緯をよく学び、それを伝えていくため行動していかねば」と述べていた。 まったくその通りだ。月日が経つとともに、過去の事は風化されやすい。同胞社会では3、4世が台頭して久しいが、歴史の事実と重みを知らなければ、1世が築いてきた貴重な財産を受け継ぎ、花を咲かすことはできないであろう。 国立大受験資格の問題ひとつを見ても、在日同胞に対する疎外意識はいまだ強い。しかし昨年、朝・日の青年たちがフレンドリーウォークを企画し交流を深めたように若い世代の間で草の根の交流が芽生えてきている。今を生きるわれわれがやること、それは歴史的事実に基づいた新しい朝・日関係を築くために努力することだ。二度と不幸な過去を繰り返させないためにも。(貴) [朝鮮新報 2004.2.11] |