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在日本朝鮮人医学協会学術報告会で発表された報告「民族和解運動の現住所と展望」〈上〉

 北に対する南朝鮮の人道支援民間団体活動を中心に「民族和解運動の現住所と展望」と題した報告が昨年11月30日、大阪で開かれた在日本朝鮮人医学協会(医協)第26回学術報告会で行われた。発表したのは「ウリ民族助け合い運動」康英植事務局長。報告の大要を2回に分けて紹介する。

はじめに

 朝鮮半島は21世紀の幕開けとともに2000年6.15共同宣言を通じて、冷戦と南北間の対決の時代より共存と協力の時代へと移行する画期的な里程標を作った。これは、朝鮮半島の平和構造の定着とともに東アジアの平和と共同繁栄へと結びつける重要な出来事であった。

 一時緊張していた核問題も今や対話を通じた解決の可能性が見えている。これは直ちに南北間交流協力の活性化へと結びつくであろう。11月初旬、南北経済協力推進委員会、南北赤十字会談で離散家族面会所建設合意や来年の開城工業団地内のモデル工団合意で、一時疎遠になっていた南北関係が再び活発化される兆しが見えてきた。

 南北間交流協力は政府と企業、民間の3つの軸に分けられる。この中で民間部門は「政治的(広義の意味)性格の民族和解運動」、「人道的対北支援運動」、言論、学術、文化芸術、体育分野での「一般社会文化交流」など3領域に大別される。まず、民間分野の対北交流協力のあらましから見てみよう。

民間分野の交流協力

 (1)政治的性格の民族和解運動

 これは南の民族和解協力汎国民協議会(民和協)、7大宗教団体、統一連帯など3者協力機構と北の民族和解協議会(民和協)が窓口となって行われている。その間2001年6.15共同宣言1周年記念金剛山大討論会をはじめ、02年ソウル8.15南北統一祭典など、重要な時期ごとに南と北の各諸勢力が参与し、統一と和解協力を象徴する行事を推進している。

 この運動は、北が98年民族和解協議会を結成し南北政党社会団体連席会議を提案すると、これに相応する機構として南から進歩、保守、中間勢力が大挙参与し、常設統一協議会として民族和解協力汎国民協議会が発足しながら始まった。

 発足当時2〜3年間は足踏み状態だったが、この4年前からは北の民和協と民間統一事業のパートナー関係として発展しながら7大宗団と共に統一運動的性格の交流行事を展開している。

 北が伝統的に政党社会団体連席会議の枠を通じた統一事業を重視しており、全国的であり諸勢力、諸階層が参与しなければならない統一運動の性格を考えるならば、この道を通じての南北間統一運動の性格をもった南北交流がより活発化されようとしているように思える。毎年催される10月開天節行事、年の3.1民族大会等宗教間交流をはじめ、労働者、農民、青年、女性など、諸階層と部門別交流が持続的に行われる見通しである。

 (2)学術、文芸、言論、体育分野等での一般社会文化交流

 この分野の交流は全体的にはまだ初歩的な段階と言える。北側の対応態度は慎重で漸進的に拡大しようとしている。従ってこの分野の事業は主に大衆的なイベント形式で行われている。

 学術分野では平壌科学技術大学建立推進事業、IT技術教育(丹東地域)、毎年中国で開催されるウリ文字学術会議などが挙げられる。03年に入り、平壌で日帝抗日、南北統一、医学、上古史(古代史)分野の学術討論会が開かれた。

 体育分野では02年釜山アジア大会に北の選手団と応援団派遣が南北の和解の雰囲気を形成するうえで大きな成果を成し遂げたことが評価され、03年8月の大邱ユニバシアード大会、10月の済州道民族平和祭典に北の選手団が参加するなど、今後この分野の交流は相対的に活性化すると予想される。

 文化芸術、放送分野ではその間、社会文化交流事業の主な領域であった。KBS、MBC、SBSの3つの放送会社が中心となり、文化公演、放送、取材、自然と歴史ドキュメンタリーの事業を行ってきた。

 その間全般的に北の立場が事業の性格と大局的次元で大きな事業だけに固執している関係で、規模は小さいが持続的で多方面にわたる具体的な事業までには発展していない。けれども03年に入って北側は、民族共助、多様な領域での南北交流事業に積極的な態度を示しており、朝鮮半島周辺の政治状況が安定すればこの分野でも日常的に多様な活動が可能であることがうかがえる。

 (3)人道的対北支援運動

 この運動は95年から数年間におよんだ大洪水、干ばつの天災によって生じた北の地の大飢饉を機に台頭した。人道主義と同胞愛を基に食料および医薬品など単純な緊急救護支援を主たる活動として出発し、徐々に農業、畜産、保健医療など主に食料生産、生命分野を中心とした開発協力事業として支援領域と範囲を広げている。

 南ではこの分野でウリ民族助け合い運動をはじめ、「クンネイバス」、「ワールドヴィジョン」、「韓民族福祉財団」、「南北子ども仲良し展」など多数の民間団体と宗教系等20余個の団体が活動しており、北の応対役は朝鮮アジア太平洋平和委員会、民和協、民経連、宗教団体がある。

 この分野の交流は非政治的、人道的性格で南北間の政治状況の変化にあまり影響を受けることなく持続性、安定性を持っている。また、北の経済難と住民生活難は持続的な人道的支援に対して南の国民的共感を呼び起こしている。従って現在この分野の交流が日常的な南北民間交流の主流になっている。(康英植、ウリ民族助け合い運動事務局長)

[朝鮮新報 2004.2.6]