「立派な朝鮮人に」 |
昨年12月中旬から約1カ月、関西方面を取材した。全国高校ラグビー大会で強烈な印象を与えた大阪朝高ラグビー部、8度目の防衛を果たしたボクシングの洪昌守選手など、新年早々楽しい取材が続いた。 恒例の20歳を迎える同胞青年を祝う集いもその一つ。各地で行われた式では、女性は華やかなチマ・チョゴリに身を包み、男性は髪をセットし、新調のスーツで決めていた。見慣れた風景だが、ニュースで騒がれるような日本の成人式とはやはり違う。 今回、大阪の生野西、兵庫、和歌山と3カ所の式を3日間ではしごした。それぞれ地域の特色が出ていて、その内容の濃さには驚かされた。変装した猿が登場し、場を盛り上げる。ベストドレッサー賞を決めたり、ビンゴゲームで目玉商品を準備したり。どれもこれも、地域の朝青員が中心になって準備したものだ。 「俺らの時代、こんなおもろいもんちゃうかったで。お前らがうらやましい」と、冗談まじりで20歳の同胞青年たちに話しかける生野西支部の朝青員。 兵庫成人式で孫娘の姿を見にきた徐元洙さん(79)は、「私たちの時代には、このような式はなかった。立派な式でとても感慨深い」と話す。 20歳を迎えた子を持つ両親の口から、必ず出てくる言葉があった。それは、「朝鮮人として堂々と生きてほしい」。親が願う気持ちはいつになっても変わらないものだと実感した。 和歌山で出会った崔月順さん(57)。去年4月に長男を亡くした。「帰ってきてほしい」とのオモニの言葉に、20歳を迎えた三男の司空譲さんは、「朝鮮大学校は卒業しないと意味がない」と返答したという。 日本の高校出身の司空さんは、民族教育を受けてまだ2年。式場で、成長した息子の姿に思わず涙を浮かべながら「朝大に送って本当によかった。立派な朝鮮人になってほしい」。(c) [朝鮮新報 2004.1.27] |