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次はどの朝高が

 国見高校の優勝で幕を閉じた第82回全国高校サッカー選手権大会。高校サッカーファンの胸に残るのは平山選手だったり桑原選手、カレンロバート選手だったかもしれない。

 しかし同胞の目に光って見えたのは、「赤いミラクルチーム」だった。

 冬の選手権京都府予選。インターハイ予選1回戦敗退のチームが、強豪たちを淘汰し、破竹の勢いで京都府の頂点に登りつめた。

 今回の大会参加チームの中でたぶん最も部員数が少なかったであろう京都朝高サッカー部は、しかしどのチームよりも大きな期待を背負わされた。「『在日』の夢」という大きな期待を。

 朝高サッカー部に全国大会出場の門戸が開かれて10年。全国1勝の夢は、いまだ果たされていない。

 会場入り口で手にしたパンフレットを開いた途端、言葉が詰まった。すべての高校が選手枠である25人を埋めているのに、唯一1校だけ埋まっていなかった。

 全校の男子生徒数を全て足しても1回戦の相手、武南高校(埼玉)のサッカー部員数より少ない。不安が脳裏をよぎる。祈るような気持ちで試合開始を待った。

 ホイッスル。

 目を疑った。相手陣内に深く攻め入りゴールを脅かしたのは、「赤」だった。カーンと乾いた音をたててゴールバーからはね返るボール。飛びかう汗。わき上がる観声。しかし、遠かったゴール……。冬空の下にくずれ落ちる選手たち…。

 ありふれているけれど、忘れられないあの一言。「悔いはない」。彼らの姿はまぶしかった。

 「幻の強豪」と言われ続けた朝高サッカー部。見ることしか許されなかった全国のひのき舞台に、今、立っている。

 第83回大会までもう1年をきった。すでにたたかいは始まっている。

 次はどの朝高イレブンが勇気と希望を与え、そして夢を叶えてくれるのだろう。(茂)

[朝鮮新報 2004.1.20]