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〈どうなる? あなたの年金〉 現在の制度について教えて

 今年から新しい年金制度が施行される予定だ。年金の問題は、在日同胞の生活にとっても無関係ではない。現行の制度はどうなっているのか、新しい制度はどんなものか−。韓鐘哲氏が解説する。

 Q 最近、毎日のように新聞、テレビで年金制度改革についての報道がされていますが、正直なところ、現在の年金制度も良くわかりません。現在の年金制度はどのようになっているのですか? 

 A まず、年金制度を説明する前に、「年金」という言葉そのものを定義しておきます。年金とは、「毎年一定額を、年金制度を運営する者が年金をもらえる資格のある人に支払い続けていく仕組み」のことです。

 実は、年金制度は、公的年金、企業年金、私的年金の大きく3つの制度に分けることができ、さらに制度の中に様々な種類の年金があるのです。そして、それぞれの制度や種類によって、もらえる年金の額も違えば、もらうための資格の要件も違うのです。ですから、自分はいったい「いつ」から、「いくら」の年金がもらえるかは、それぞれの方が加入する年金制度によって変わってくるのです。

 大きく3つの制度に分けることができる年金制度ですが、このうち問題になっている年金制度改革の対象となるのは公的年金です。公的年金とは、国が運営し、社会保障の給付として行う年金制度のことで、国民年金、厚生年金保険、各共済組合などがこれにあたり、「老齢、障害、死亡の3つの保険事故によって国民生活の安定が損なわれることを防止すること」を規定しています。

 この公的年金制度は、すべての人がなんらかの形で年金制度の適用を受けられる「国民皆年金制度」とよばれ、制度の根幹は、現役世代が保険料を拠出して、高齢世代が保険給付を受ける「世代間扶養」と年金受給者の受給額とそれを支える保険料の拠出額との公平性を確保する「給付と負担の適正化」という仕組みになっている、世界に類を見ない日本独特の年金制度になっています。

 現在の公的年金制度は、1985年に改正され、86年4月からスタートしたもので、基本的には2階建て構造になっています。1階部分は公的年金制度のベースとなる国民年金(基礎年金)です。民間サラリーマン、公務員等は、この国民年金に2階部分がプラスされます。この2階部分を厚生年金保険、共済制度といいます。

 改正前の公的年金制度では、職場や職業によって異なった年金制度に加入する仕組みになっていました。しかし、86年4月から、国民年金をベースにそれぞれの公的年金制度を一元化した基礎年金制度に改め、民間サラリーマンや公務員等も国民年金に加入し、基礎年金が支給されることとなりました。また、改正前の制度では加入が義務付けられていなかった民間サラリーマンの被扶養配偶者(一般的には妻)も、このときから当然に国民年金に加入することになったのです。(韓鐘哲、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー)

[朝鮮新報 2004.1.13]