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日本の民族差別撤廃へ−前田朗・朝大政治経済学部法律学科講師

 朝大では、日本学術会議会員や司法試験考査委員など日本の著名人士も教べんを取っているが、設置5年を迎えた政治経済学部の法律学科は、日本の一流大学院レベルの講師が集まっているという。東京造形大教授の前田朗さん(47)も設置以来の講師で、「親しみやすく、興味を抱かせる先生」と学生たちから好かれている。講師を務めての感想や生徒たちへのアドバイスなどについて聞いてみた。

 ―法学を学ぶものにとって重要な基礎となる1、2年の「刑法1(総論)」「刑法2(各論)」を担当し今春、1期生を送り出したが。

 弁護士や司法書士など法律専門家になるという意識が強いのは当然だったが、とくに1期生はライバル意識も強く、意欲的で、何でもやるという貪欲さもあった。

 印象深く残っていることは、問題意識が日本の学生と比べて強かったことだ。私自身も研究を深めるうえでの刺激、参考になったことも少なくない。

 1期生は卒業後、多数が研究院で引き続き勉強し、弁護士、司法書士を目指しているというが、在日の専門家が増えることで、その地位向上にもつながろう。同時に、そうした教え子たちとも協力し、在日の権利を守り、日本社会の民族差別制度を撤廃していこうと思っている。

 ―日本の大学ではなく、朝鮮大学校で法律を学ぶ意義は。

 まだ新しい学科なので、成果はこれから徐々に表れてくると思う。ただ強調できるのは、勉強だけではなく、朝鮮大学校で養われる正義感や在日朝鮮人としての自覚、問題意識を人生の柱としていくことによって、真っすぐな人生を歩んでいくきっかけを得ることができるのではないか。

 日本の大学卒業生だと、金儲けなどに走ってしまう場合が少なくないが、朝大の学生たちは問題意識が明確だ。朝大では、日本の法律システムが抱えている矛盾を見抜いたり、日本社会の矛盾を分析できる環境もある。

 余談だが、私は学生時代、参考書を読んで覚えるのではなく、それを批判的に見て、矛盾を探し出すという勉強もした。つまり問題を設定し、現実と法律を照らし合わせて答えを見つけていくという作業だ。答えを見つけることができない時もあったが、そうした作業を繰り返し、積み重ねていくことが大切だ。「物事が見えてくる」、それが法律のおもしろさでもある。

 また、日本の大学では百人規模の講義だが、朝大は少人数制なので、学生1人ひとりに目が届く。これは学生にとっては大きなメリットだ。

 最後に、1人でも多くの教え子が資格試験に合格し、また同胞社会の発展に寄与してくれることを願う。

[朝鮮新報 2003.6.2]