朝鮮大学校−新たに創設、文学歴史学部 |
今、同胞社会は1、2世から3、4世へと世代が代わり、民族性をいかに守り通すかが非常に重要かつ緊急な問題として提起されている。朝大ではこうした時代の流れに対応して、今学年度から文学部と歴史地理学部を統合、「文学歴史学部」(朴宰秀学部長、56)を創設した。母国の言葉と文字(朝鮮語)、歴史と地理、文化など民族に関するものを総合的に学び、祖国の統一と国際舞台で活躍できる人材、民族科目を担当する教員、各専門家などを育成するのが目的。同胞社会において民族性を守り発展させていくうえでの拠点になると言えよう。(羅基哲記者) 双方にメリット 新たに創設された同学部には、語文、歴史地理の2つの学科が設置された。民族科目を総合的に学びながら、3年から専攻(選択科目)をさらに深めていく。 北と南、在日、世界の語学、文学、歴史、地理、文化を学べるのが特徴だ。とくに、時代のニーズに対応し、朝鮮語から日本語、日本語から朝鮮語への翻訳、通訳や会話の授業、中国への歴史、地理実習なども新たに組み込まれた。 語文科の金奈美さん(3年、大阪朝高出身)は、「文化の発展、影響、特徴は、その時代の歴史と密接な関係を持っている。歴史をさらに知ることで、文学史の探究心はさらに増す」と、統合、新設の意義を強調する。 金さんは教員志望だ。「正確なウリマルを子どもたちが学ぶためには、教える教員たちの水準を高めることが重要。当然、24時間ウリマルで生活し、とくに生活用語の向上に努めているが、つい日本語で話したりした言葉は、辞書でウリマルを探し、一覧表にして壁に張っている。こうした姿勢に、男子も刺激を受けている」という。 学習していくうえでのメリットの一方で、生活面においてもプラスの側面がさまざまな形で表れているとも。 同胞社会の開拓者 一方、統合に当初、不安を感じていた歴史地理学科の金一昌さん(3年、大阪朝高出身)。「大学創立以来の長い伝統を持つ歴史地理と文学は姉妹学部と言われてきたが、イメージカラーの緑はなくなり、学部の歌ももう歌えないのかと正直言ってガッカリした面もあった。が今は、それよりも民族性を守り発展させるという新たな学部の使命が重要だ。1+1=2や1+1=1と考えるのではなく、100を創り出す意気込みでいる」 ちなみに学部のイメージカラーは紺色になった。学部のTシャツも紺で、学生たちのアイデアにより、背中には朝鮮半島の大地の上に「문학력사」の文字がウリマルで、胸にはニンニクとトウガラシが描かれた。 金さんは、「過去を知って現在を直視し、そして明るい未来を開拓していきたい。同胞社会における民族性を守る問題は、われわれが先頭に立っていきたい」と語っていた。 正確なウリマルを 同学部1年の朴希舜さんは、東京朝高2年の祖国訪問時に子どもたちと交流した際、同じ民族なのに言葉がよく通じなかったことに大きなショックを受け、正確なウリマルを学ぼうと大学へ進んだ。 「民族を象徴付ける言葉と文字を正確に学び、そして伝えていくことが現在、同胞社会に求められていること。入学から約2カ月、生活にも慣れてきた。学ぶ環境も申し分ない」と強調する。 学部では、ハングル検定や朝鮮語通訳ガイド試験などの資格も奨励していくという。 朴学部長は、「民族性がよりいっそうクローズアップされる21世紀に合わせて同胞社会に求められる民族性豊かな人材を育てるとともに、異国で培ってきた民族愛と愛国の伝統を大切にしながら、21世紀、在日同胞社会の歴史と文化を創造し発信する拠点としての役割を果たせる学部にしたい」と述べていた。 [朝鮮新報 2003.6.2] |