若きアーティストたち(18) |
ディスクジョッキー・金明順さん 関西地方で放送されているラジオ番組FM802で「みょん」の愛称で親しまれているDJの金明順さん(24)。元気いっぱいのトークで「MIDNIGHT STRUT」(毎週金曜 深夜3時〜5時)を盛り上げている。 DJになったきっかけは、学生時代のアルバイト先で「たまたま担当したお客さん(プロデューサー)にオーディションを勧められた」ことだった。 FM802といえば、関西では知られたラジオ番組。「そんな大きな所で話をするなんて」と、はじめ金さんは断ったが、オーディションは年に1度だけ。再度の勧めに「駄目モト」で受けてみることにしたという。 会場にはプロ、アマ問わず、800人が集まった。合格者は2人だけ。その1人に金さんは選ばれた。大学4回生の5月に受かり、10月から番組を受け持つことに。 新人DJの「登竜門」ともいわれている「FUNKY JAMS 802」に出演し、毎週2回、深夜3時〜5時までの間を1人で喋り、リスナーたちに音楽を贈った。 「もちろん周りのスタッフが助けてくれるんですが、ネタを拾って自分の言葉で話すので、リスナーとの距離をつかむのに気を使いました。喋りを仕事にするのは初めてだったので」 DJとしての彼女の売りは「日本人と違う」こと。だから「伝えたいこともいっぱいあるし、話したいこともいっぱいある」。話題は、社会問題から、朝鮮学校、日本学校、踊り、恋、私生活など多岐にわたる。 「まだまだ社会経験も少ないし、滑舌も日本の学校に通っていた子よりずっと悪いかもしれない。だけど、ウリハッキョを出ていて、朝鮮舞踊をやっていて、日本の中での差別も知ってて、しかも在日の3世で、これってすっごいプラスやと思う」 彼女にとって、周りの日本人とは違う教育を受け、朝鮮の文化を知っているということは、ひとつの「個性」になっている。 「でも、同じ人間やもの。日本で生まれて育って、日本の若者と同じ歌を普通に良いなぁと思って、好きなお菓子のこととか共通のことを何でも喋る。そこで、こんな風に同じやのに、何で差別するの? おかしない? って伝えるんです」 違うけど同じ、同じだけど違う。そうした考え方は、在日3世ならではの発想なのかもしれない。 「ウリハッキョのこととか、朝鮮舞踊のこととか話すと、若い子から『もっと教えてぇ』と反応が返ってくる。そういう時、ほんま、ウリハッキョ行ってて良かったなぁって思えるんです」。 肩を張らず、等身大の女の子の姿を通じて、リスナーたちにいろんなことを伝えたいと考える。「今は802というブランドの中にいるけれど、いつかは自分自身がブランドになれれば」。そんな夢に向かって、「1日1日を大切にして生きていきたい」と話す目が輝いていた。(金潤順記者) [朝鮮新報 2003.12.17] |