馬よ
私は貴方が笑うのを見たことがありません
いつも宿命を諦観したような顔で
ときどき笑うこともありますが
それは滅多にないことです
たいがいは沈黙しています
そして従順に物を運搬もし
人を乗せて走りもします 馬よ、貴方の運命はただそれだけですか
そうであるなら あまりに寂しいことです
私は人の力ではどうしようもない
人の悪を目の当たりにするとき
常に来世の審判が必要だと思います
そのように
貴方の運命を思うとき
常に 貴方も人になる時があり
人も貴方になる時が
なくてはならないのだと思うのです 「新生活」誌に収録(1922.8)
南宮壁(ナムグン・ビョク、1895―1922) 27歳で夭折した詩人、残された詩も10篇ほどだ。ユニークな発想の詩に、国を奪われた時代の思いが重なる。(選訳、康明淑) [朝鮮新報
2003.12.3]
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