わたしの心は湖水です
あなた 漕いでおいでなさい
あなたの白い影を抱き、玉のように
あなたの船べりに砕けるでしょう わたしの心は蝋燭です
あなた あの扉を閉めてください
あなたの絹衣の裾に震え、静かに
最後の一滴までも燃え尽きるでしょう わたしの心は旅人です
あなた 笛を吹いてください
月の下で耳を澄まし、ひっそりと
わたしの夜を明かしましょう わたしの心は落葉です
しばらくあなたの庭にとどめてください
やがて風が吹けば また旅人のように、寂しく
あなたの許を去るでしょう 「朝光」誌に収録(1937・6)
金東鳴(キム・ドンミョン、1901―1968) この欄で紹介したもう一つの代表作、「芭蕉」とは一味違う。恋心の喜び、情熱、切なさ、哀しさをつづったこの詩は、現在歌曲としても愛唱されている。それにしても、「心」とはどんなものなのか。(選訳・康明淑) [朝鮮新報
2003.11.19]
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