故郷に 故郷に帰っても
恋しい故郷は此処にない 雉が卵を抱いて
カッコウは季節に鳴けど 心はわが故郷を持てず
遠い港に浮かぶ雲 今日もひとり山に登れば
白い花がやさしく微笑む 幼いころ吹いた草笛の音 今は鳴らない
乾いた唇にほろ苦いばかり 故郷に 故郷に帰っても
恋しい空だけが高く蒼い 「東方評論」(1932)に収録
鄭芝溶(チョン・ジヨン、1902―?) 詩集に「鄭芝溶詩集」(1935)、「白鹿潭」(1941)など。詩人の故郷である忠清北道の沃川郡では、毎年5月に「芝溶祭」が開かれる。(選訳・康明淑) [朝鮮新報
2003.10.29]
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