秋風騒ぐ夕暮れ時に
ほのかに咲いた花一輪
高いほうは人知れず散りゆく
おお 失われた思索の花よ 夜通し苦しめられた花よ
明日には倒れる花よ
そなたの名は過ぎし日の弔歌 静かな夜、静かによこたわる海に
きらりと光る微かな炎のごとく
一時は心に咲く花よ おお 散りゆくその花のささやく声を
願う心よ、こころして聞け
そして奥深く尊べ 1923
現代朝鮮文学選集14・一九二〇年代詩選(2)に収録
金億(キム・オク、1893―?) 詩集「くらげの歌」(1923)、「岸曙詩集」(1929)などの他、わが国初の翻訳詩集「懊悩の舞踏」(1921)を出版している。金素月の師としても有名。こんな詩にふれて一足早い秋を感じてみたい。(選訳、康明淑) [朝鮮新報
2003.9.24]
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