善竹橋 石の欄干に 寄りかかり 五百年 いにしえの夢に 日が暮れる 伝えられる 物語 真であるかと 赤味おびた 石門に 今一度見入る
去るに 名残り無きこと すべての命か? 石橋の下は 小川すら涸れ 碑石の文字 ひとり 旅人を呼ぶ 哀しき地よ、我ふたたび 訪ねん
「麗水詩抄」(1940)に収録
朴八陽(パク・パルヤン、1905―1988) 開城の善竹橋は「高麗王朝最後の忠臣」といわれる鄭夢周が李成桂(高麗王朝を倒し、朝鮮王朝を建国)への協力を拒み、暗殺された場所。詩人は「我ふたたび訪ねん」とうたっているが、訳者もぜひ一度訪ねてみたい地である。(選訳・康明淑)
[朝鮮新報 2003.9.17]