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放浪の心

流れに
住みついた
おお! 流れに
住みついた
我が魂…

海の無いところで
海を恋慕するあまり
目を閉じて心に
海を描き
ただ座ったまま時を忘れ…

古城の上つま先立ちで
野のむこう山のむこうに
見え隠れする海を追う
日が暮れるのも忘れて…

海を心に呼び起こし
目を凝らしてじっと見つめていると
深い海の音は
我が血潮の流れに乗ってくる

茫々たる青い海原―
心の目に広がるとき
霧のような海の香り
鼻先にただよう

「東明」18号(1923・1)

呉相淳(オ・サンスン、1894〜1963) 代表作は「アジアの夜」、「アジア最後の夜景」。この詩が書かれた頃、詩人は安住の地を求めて金剛山をはじめ全国に放浪の旅をしたという。(訳・康明淑)

[朝鮮新報 2003.8.12]