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夏日小景

 雲母のように光る涼しげなテーブル
 やわらかな氷、粉砂糖、牛乳
 血より赤い苺を盛ったガラス器
 薄衣をまとった少しけだるそうな乙女は
 長いまつげを伏せながら
 かぼそい手に取った銀スプーンで
 ガラス器のなかの肉厚な苺をつぶす
 淡紅色の清涼剤が花びらのようにゆれる

 銀スプーンにすくわれた花の水は
 乙女の物静かな唇をより鮮やかに染める
 甘い蜜でも飲んだかのように
 その顔はみずみずしい青葉と輝き
 鼻頭の水銀のような汗はいつの間にか消えた
 それは蒼空を写した小さな池の真中で
 鏡のように咲く蓮の花のしずくを
 泳いでいる白鳥が飲み干すみたいだ

1926

李章熙(リ・ジャンヒ、1900―1929)  白、赤、紅、緑、蒼―まるで一幅の絵画を見ているような詩だ。他に「春は猫である」、「春の海」などが有名。(訳・康明淑)

[朝鮮新報 2003.7.23]