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心火

 友よ! そなたの澄んだ瞳に
 涙のしずくが玉のよう
 なにがそんなに悲しいのか

 そなたの美しい眉
 憂いの影深く
 なにをそんなに悩むのか

 そなたの固くつぐんだ口
 語らなくともこの胸に響く
 偽りのない心が隠れているからか

 未熟なわたしの文章は
 そなたを慰めるすべを知らない
 ああ! この筆をへし折ってしまおうか

 涙だからこそ胸にしみいる
 憂う心で声もなくうたう
 声のない歌は詩ではないのか

1945

朴芽枝(パク・アジ、1905―1959) 農村を描いた詩が多く「農民詩人」といわれた。詩集に「心火」(1946)、「チョンダリ」(1959)。なにかの本で「タイトルは最終行の後にくる本当の最後の一行」と書かれていたのを読んだことがあるが、タイトルにハッとさせられる。(訳・康明淑)

[朝鮮新報 2003.7.2]