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若きアーティストたち(14)

ピアノ奏者・趙梨華さん

第26回ピティナ・コンペティション全国決勝大会で演奏する趙さん

 今年3月、東京で開催された第26回ピティナ・ピアノコンペティション コンチェルト部門全国決勝大会で最優秀賞を受賞した。

 審査委員長の松ア伶子さんは「Our Music」(237・春)で「上級の最優秀賞に輝いた趙梨華さんの演奏は、非常に音楽的で内容豊かなすばらしい演奏で、とても楽しませていただきました」と評価している。

 現在、東京桐朋学園大学でピアノを専攻している。趙さんが「将来、ピアノの道へ進みたい」と考えたのは九州朝鮮高級学校1年生のときだった。4歳の頃からピアノを習い始め、以後、数々のピアノコンクールで賞を取り、才能と実力を開花。在日朝鮮学生ピアノコンクール中学、高校の部で各1位、全日本学生音楽コンクール福岡県大会ピアノ部門中学の部で2位、ロシア・サンクトペテルブルクで開かれたチャイコフスキージュニアコンクールでセミファイナリストに選ばれている。こうした輝かしい受賞の経験が、彼女の進路に大きな影響を与えたことはいうまでもない。

 特に高校2年のときに全日本学生音楽コンクール福岡県大会ピアノ部門で1位に選ばれ、全国大会出場権を得たときはマスコミからも多くの注目を集め、新聞、雑誌に「趙梨華」の名前と在籍校である「九州朝鮮高級学校」の名が紙面に踊った。そのとき趙さんは「しっかりしなくちゃ!」と、思ったという。学校の代表、在日朝鮮人の代表という「プライド」をバネに全国大会に挑んだ。

 卒業後、東京の大学に進んでからは、音楽について1から学んでいるという。「日々、音楽の奥深さについて考えさせられている。ピアノを弾くには技術が必要。技術がないとすばらしい演奏ができないから。でも、それだけではいけない。演奏には、曲を奏でる人の人間性が表れる」。彼女は今、音楽をしながら「人間的にもっと豊かにならなくては」と考えている。

 昨年秋には、留学同活動を通じて知り合った在日の音大生らを集めて、都内の小さな教会で「パラム〜新しい風〜」と題された演奏会を開いた。「出演することはあっても、演奏会を準備するのははじめてのこと」。パンフレットの製作から宣伝まですべて手作り。8人の出演者からは「はじめて裏方の苦労を知って、こんなに大変なのかって思った」との声を聞かされたという。

 演奏会では朝・日首脳会談直後ということもあり、出演者たちの朝・日親善への願いを込めて「トンドルラリ」、「アリラン」など朝鮮の曲も披露した。

 夢は「うまかったね」と言われるより「もういちど聴きたい」と思われる演奏家になること。そして、「観客の心に染み入るような、そんな音楽を奏でてみたい」と話していた。(金潤順記者)

[朝鮮新報 2003.6.18]