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青ぶどう

 わがふるさとの七月は
 青ぶどうの熟れるとき

 この里の伝説たわわに実り
 ひとつぶひとつぶ遠い空の夢を映す

 空の下 青い海原が胸をひらき
 白い帆船が美しく流れよると

 待ちびとは疲れたその身に
 青袍をまとい訪れるという

 かのひとと、ぶどうを摘み食べるなら
 この両手しとどに濡れるもいとわない

 子らよ、わが食卓には 銀の皿に
 白いからむし(苧麻)のナプキンを

李陸史(リ・リュクサ、1904―1944) 独立運動の過程で何度も逮捕された詩人。筆名である李陸史は初めて投獄されたときの囚人番号二六四(イ・ユクサ―音が同じ)に由来しているという。この詩は慶尚北道・安東の生家にある詩碑に刻まれている。青と白のコントラストが美しい水彩画のようで、今の時代に読んでも洗練されたすがすがしさを感じる。(訳・康明淑)

[朝鮮新報 2003.4.16]