top_rogo.gif (16396 bytes)

かくも近き道があるのに

 かくも近き道があるのに
 どこか遠き道を廻りめぐった日もある

 ここはトンヘ(東海)に近きところ
 地図が繰り言たんまり吐き出す

 つもる想いを、ぶつけよう
 われらの海岸から押し寄せしこの波間に

 汽車はしゃがれた声を吐き、三等席に座った私は
 直江津から新潟へ向かう道すがら

 砂浜に押し寄せる波
 ふるさと想う旅人は足を浸し

 今も昔も海は変わらない
 ながく胸に秘めたしトンヘよ!

 わがふるさと春のようすが目に浮かぶ
 波間越え呼べば聞こえるところにいる

 黒松のように曲がりくねったわが人生 全精力  をふりしぼり
 その体から噴出す水 もう一度のみにゆこう

(1947年「白民」より)

 姜舜(カン・スン) 姜舜詩集(1964年発行)収録。(訳・全佳姫)

[朝鮮新報 2003.1.29]