重い荷を背負いて行く人は
よろめく足元ばかりを見てないで
たまには顔をあげ四方山川の
爽やかな風景をながめなさい 食べ物のまずいうまいは口しだい
栄辱の苦しみ楽しみも気の持ちよう
ごらん、日は沈んでも 月が昇る
漆黒の雨降る夜には休めばいい 重い荷を背負いて行く人は
息苦しい坂道に嘆くばかりではなく
たまには心を落ち着かせ
眼前の坦々大路を思い浮かべなさい 平穏は苦労の種にもなり
苦労は楽しみの種にもなる
ごらん、火田荒地耕せば
秋には黄金の稲穂 実るから 刃の上で回る人生だと
水に身を投じたバカな女
たとえばそんな選択もあったやも知れぬが
そうではない選択をなぜできない 刃の上で回る人生でも
踊りまわるのは自分自身
誰が踊り狂えと言った
ねじ曲がった女の人生 (中略) 雨になり流れた水は
山あいの滝になり水力電気だ
田畑に水を運ぶ灌漑水だ
乾ききった土の恵みとなる 美しい花 一輪 枯れゆくとき
夜の冷たい露となりよみがえらせ
孤独な旅人が腹をすかせたときは
湧き水となり力を与える 泉の水ほんの一滴でさえも
流れるのには大きな意味がある
人生はただ自分ひとりのものだと
思い込んでこの道 踏み外すな この荷が重いのには意味があり
この荷が辛いのには意味があるんだ
重い荷を背負いて行く人は
この世の人らしい人なんだ 金素月(キム・ソウォル) 「金素月詩集」収録。(訳・全佳姫) [朝鮮新報
2003.1.15]
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