関東大震災朝鮮人虐殺80周年に際し朝鮮人強制連行真相調査団、「日本弁護士連合会の勧告と調査報告」発行 |
朝・日合同による朝鮮人強制連行真相調査団からこのほど、資料集15「関東大震災朝鮮人虐殺80周年―日本弁護士連合会の勧告と調査報告」が発行された。日弁連の勧告(8月25日)は、1998年8月と99年11月、「関東大震災で虐殺された朝鮮同胞を追悼する千葉県西部地域同胞の会」と虐殺事件の目撃者である文戊仙さん(横浜市在住)がそれぞれの尊厳の回復を求めて人権救済申立を行ったものに対するもの。小泉首相に対し、国の責任を認め、被害者、遺族に謝罪し、真相調査と原因究明をするよう求めた。勧告の意義を改めてみるとともに、資料集の内容などを紹介する。 4年かけて作成 「同胞の会」は、船橋市の馬込霊園にある「関東大震災犠牲者慰霊碑」を1世同胞の志を受け継ぐ象徴として、また朝・日友好のきずなとして半世紀以上にわたって守ってきた。 一方の文さんは、当時、東京品川で親類を虐殺された。以降、日本が侵略戦争へと突き進んだ戦前の様子を身をもって体験した。関東大震災時の真相、責任がいまに至っても追及されないことによって、日本社会では「朝鮮人に対しては何をやっても罪に問われない」との風潮が生まれと指摘する。 日弁連は、以上の申立を重く受け止め、約4年間にわたって関係者から事情聴取を行うとともに、当時の裁判記録から公文書に至るまでの膨大な資料を収集し、詳細な報告書を作成した。歴史的な事実を法的な観点から初めて分析した意義は大きい。 再発防止の決意を 現在、虐殺が行われた地域のひとつである東京都の石原知事は、「三国人」などの差別用語をためらいもなく口にするだけでなく、韓国併合を「彼らの先祖の責任」と発言、公然と過去の歴史をわい曲している。日本が批准した人種差別撤廃条約では「国又は地方の公の当局又は機関が人種差別を助長し又は煽動することを認めない」(第4条C)としており、「他の先進国ならば罷免、処罰すべき言動」(同調査団の洪祥進事務局長)だ。 知事の発言後、青商会、朝青、留学同では連日のように抗議行動を繰り返し、発言の撤回と謝罪を知事に強く求めた。「自尊心を傷つけられたことには最後までたたかい、われわれは民族性を守っていく」(青商会中央の殷鐘仁幹事長)、というのが若い世代の立場だ。 報告書では以上のことも踏まえ、事件発生から80年が過ぎた今こそ、@国が事件発生の原因を事実に即して究明するために調査し、Aその責任を認めて謝罪し、B再発防止の決意を内外に示す―ことを訴えている。 資料は1冊500円で、購入は同調査団朝鮮人側中央本部(TEL 03・3262・7111)またはコリアブックセンター(TEL 03・3813・9725)まで。(羅基哲記者) [朝鮮新報 2003.12.20] |