全日程を終えた朝・日フレンドリーウォーク |
朝鮮と日本の友好と平和を願い、両国ゆかりの地を巡る「朝・日青年フレンドリーウォーク」キャラバン隊。東西に分かれ、札幌と福岡をそれぞれ10月18日に出発し、11月8日に横浜で合流した。昨年9月17日の朝・日ピョンヤン宣言発表後、悪化するばかりの両国関係。それを打開しようと、朝青、ピースボート、日本青年団協議会、日本社会主義青年同盟の4団体が主催して「朝・日青年友情プロジェクト」の一環として行われた。朝・日の若い世代が3週間にわたって全国を縦断しながら、相互理解の大切さを訴えてきた。時には立場の違いから激論を交わし疑問をぶつけあうこともあったが、互いに話し合い理解することの大切さを実感していた。(金明c記者) 青年同士の会話「実践して広める活動」
今回の旅に参加した在日のメンバーは、東西合わせて6人。日本の若者は途中の入れ替わりも含めて10人だ。 東日本キャラバン隊は、植民地時代に朝鮮人が日本に連れて来られ過酷な労働を強いられた強制連行跡地を巡りながら、過去の歴史を繰り返さないためにも現在の朝・日関係を改善させるための策を共に考えてきた。西日本隊は「朝鮮通信使」の軌跡をたどりながら過去の善隣関係を知り、それを現在に生かす術を探すための旅となった。 また、県庁での活動報告や「朝・日ピョンヤン宣言」を支持する署名活動、朝鮮学校と日本学校訪問、地域の青年たちとの交流会なども行ってきた。 「最初はいろいろ疑問も多かった」と話すのは中井優介さん(23)。「本当に『相互理解』ができるのか」と疑問を自分に投げかけた。
「この間、日本人の立場からその疑問をぶつけた。地域の朝青員や東北の朝鮮学校の先生との交流で『もっと日本の現状に合った教育をすればいいんじゃないか』って。でも違った。生徒たちが日本語と朝鮮語を話し、歴史を学び民族を大切にする姿に感動した」 井澗茜さん(21)は、旅の途中で家に連れ戻された。「洗脳されてるんじゃないかと心配されて…」。 「日本ではマスコミの北朝鮮報道の影響を受けている人がほとんど。だからこそ、話せばわかり合えるということを実践で広めていく活動が大事だ」 鄭俊宣さん(25、朝青中央総務部指導員)は、「日本の青年たちと『腹をわって話す』」ことの大切さを知ったという。 「歴史認識のずれや互いの意見を主張するあまり最初は食い違うことが多く、『朝・日友好』を掲げてやっていくのは無理だと思った。でも寝食を共にする過程で互いを認め合う『信頼感』が生まれた。このような活動を広げていかなければ」 過去の歴史「二度と繰り返さない」 在日3、4世たちは、自分では知っていたつもりの「過去の歴史」について、もう一度深く考えさせられたと口をそろえた。また、強制連行の過去を知った日本の青年たちも「二度と繰り返してはならないこと」だと話した。 崔英学さん(28、朝青札幌支部委員長)は、「朝鮮人の強制連行跡地を巡りながら、まだまだ知らない事が多いと感じた。しっかりと自分の足元を見直さなければ」と語る。 「自責の念にかられた」と話すのは1世ハルモニを一人芝居で演じ、全国で公演してきた田琴室さん(23、朝青大阪、非専従)。 「知らない歴史が多くて、今までやってきた芝居は本当に軽いものだったと感じた。ボタだけで作られた日向墓地(福岡県・田川郡)では胸が締め付けられる思いだった。歴史の風化を防ぐためにも私たちの世代が語り継いでいくべきだ」 深津達也さん(19)は、「北朝鮮は拉致国家」との思いから在日に対しても少なからず偏見があったという。「最後にはそんな思いはすべて吹き飛んだ」。高校を中退した深津さんは、学校などどこも同じで退屈な場所と感じていた。しかし朝鮮学校を見て、「これこそ理想の教育」と強く感じた。「朝鮮人が朝鮮学校にいくのは当たり前だ」と強調した。 「衝撃を受けたのは、強制連行されてきた1世同胞の『朝鮮人は死んだ後も差別を受けている』という言葉。在日朝鮮人に対しての偏見をなくすには、地道な交流が必要だ」 キャラバン隊メンバーのひと言
崔英学(28、朝青札幌支部委員長) 朝鮮民族のルーツを掘り下げ、朝・日青年の相互理解と民族教育を守っていくことの大切さを改めて実感した旅だった。 鄭俊宣(25、朝青中央指導員) 在日のルーツをしっかり知ることで、自分の足元を見つめ直すことができた。日本の青年たちと「腹をわって話す」機会をこれからも増やしていきたい。 中井優介(23、大学生) 朝鮮学校には日本の教育にないものがある。2カ国語を話せ、「民族」と「文化」を大事にする教育に深い感銘を受けた。教育の理想を見た感じだ。 深津達也(19、ピースボートスタッフ) 19年間生きてきた中で一番の思い出となった旅だった。偏見や差別は互いに尊重しあい、話し合わないことにはなくならない。自分たちの世代で解決させていきたい。 井澗茜(21、ピースボートスタッフ) キャラバン隊は解散するが、これからが日朝友好の関係を築く本当のスタートだと思っている。
宋忠鉐(32、朝青中央国際統一部長) 短い期間だったが、日本社会、同胞社会に新しい風を吹き込むことができたと思う。全国で出会った人たちの期待に応えるためにも、「相互理解の大切さ」を実践していきたい。 田琴室(23、朝青大阪、非専従) 在日にとって今は逆風と言われているが、旅を通じて「話せば分かってもらえる」と分かった今は、追い風になると感じている。在日をもっとアピールしなければならない。 尹景美(21、朝青神奈川県本部指導員) 日本の青年の前で、ありのままの自分をさらけ出せたことは、自分でも驚きだった。フレンドリーウォークの姿こそが「朝・日友好の姿」だ。 新田晃一(20、大学生) 一番印象に残ったのは地域の朝青員たちと本音で語りあったこと。岡山朝青との交流会で、簡単にわかり合えることに感動して泣いた。 栗原千尋(23、ピースボートスタッフ) 国と国は争ってるけど、人と人との対話を大事にすることの大切さを学んだ。最初は変な固定観念があったけど、日朝の過去はいいページが多いことも知った。 高島菜実(22、ピースボートスタッフ) 言葉では言い尽くせないほど、いろいろなことを学んだ。朝鮮通信使と日本との良好な関係、強制連行の暗い過去、どちらもしっかりとわかったうえで話し合うことが大事だ。 その他のキャラバン隊参加者=吉岡修(23、大学生)、高成喜(27、朝青茨城、非専従)=以上東日本。 加藤めぐみ(22、ピースボートスタッフ)、長谷川七重(21、ピースボートスタッフ)、村上沙智代(26、ピースボートスタッフ)=以上西日本 [朝鮮新報 2003.11.25] |