「在日の子勇気づけたい」と東京弁護士会が都内私鉄の車内、駅構内にポスター掲示 |
在日コリアン児童、生徒への嫌がらせ防止を呼びかけるポスターが、今月初めから都内の私鉄数社で掲示されている。「日本社会で強まる排外主義に抗し、今こそ民族差別に反対する声をあげよう」と東京弁護士会が作成したもので、乗客や職員などに嫌がらせが恥ずべきことを訴え、現場での事件防止に役立てるのが目的だ。今年4月、同弁護士会内に結成された「在日コリアンの子どもたちに対する嫌がらせ等問題対策プロジェクトチーム」(座長=北村聡子弁護士、以下PT)が中心となって準備を進めてきた。 現場での事件防止に
両国間の国交正常化に向けた新たな一歩となるはずだった朝・日首脳会談から1年余り。日本の極右政治家とマスコミによる反朝鮮、反総連キャンペーンは悪質化の一途をたどり、うずまく右傾化と民族排他の波が在日コリアンへの差別と偏見を増幅させている。 なかでもとくに深刻なのは、弱者である子どもたちへの嫌がらせだ。朝鮮学校の生徒が制服のチマ・チョゴリを切られたり、「拉致するぞ」「(朝鮮へ)帰れ」などと暴言を吐かれる事件が今も後を絶たない。とくに事件が多発しているのが通学途中。児童、生徒たち、保護者の不安は募るばかりだ。 6月に事件防止を訴える会長声明を発表した東京弁護士会では今回、掲示ポスターを作成。鉄道各社に掲載を呼びかけてきた。現在、中吊り、掲示用合わせて約8600枚分が都内私鉄数社の車内や駅構内に掲示されている。 PT事務局長の師岡康子弁護士は、「弁護士グループの実態調査によると、報告された事例の多くが駅構内や電車内で起こったもの。乗客や駅職員の方々に嫌がらせがいかに恥ずべきことかを訴え、現場での事件防止に役立てたいとポスターを作成した。これを見た日本人が嫌がらせを見過ごさず、子どもたちを守ってくれれば」と期待する。 一目でわかる実態
ポスターはデザイナーの遠崎寿義氏がデザインしたもの。切り裂かれたチマ・チョゴリの図柄の上に、子どもたちが実際に投げつけられた言葉が盛り込まれている。それらの言葉は「在日コリアンの子どもたちに対する嫌がらせを許さない若手弁護士の会」(代表=杉尾健太郎弁護士)の調査で明らかになったもので、ポスターを見た人が一目で実態を知ることができるよう工夫が凝らされている。 ポスターに掲載された、日本語と朝鮮語による内容の異なる2つの文章は、日本人と在日コリアンの子どもたちに向けてそれぞれ書かれたものだ。日本人には再発防止の呼びかけが、子どもたちには連帯と励ましの言葉がつづられている。 「不安におびやかされながら通学する在日の子どもたちを勇気づけてあげたい」(師岡弁護士) 問い合わせや感想、意見は、東京弁護士会ホームページご意見箱メールか、法律相談課の鈴木明代さん(TEL 03・3581・2206、FAX 03・3581・2253)まで。(李明花記者) [朝鮮新報 2003.11.11] |