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朝・日青年と行政が主催して行われた「コリアンフェスタinよなご」に700人の市民ら参加

在日コリアンの人権についての理解を深める契機にと催された「コリアンフェスタinよなご」

 「在日コリアンの人権についての理解を深める契機に」―鳥取県立武道館などで26日、「コリアンフェスタinよなご」が行われ日本市民ら700余人が参加した。「学んで聴いて食べてごしない(ごしない=米子弁で、〜くださいという意味)」をキーワードに、在日コリアンの人権問題に関する講演、コリアンと日本の文化芸術公演が催され、コリア料理などの屋台村が出店された。

 朝青鳥取県本部、民団青年会メンバーで構成された「米子市に住む在日コリアン若者の会」、連合鳥取などの10団体と米子市で組まれた同実行委が主催したもので、同県では初めての試み。また、県の委託事業として県の予算が支出された。総聯県本部ではこれまで、県の人権施策の基本方針策定に参与。「在日コリアンの人権について理解を深めるきっかけを作ってきた」(朴井愚委員長)経緯もあり、昨年9月以降の厳しい情勢の中でもフェスタが実現した。

大きな拍手を送る公演観覧者

 フェスタではまず、館内で実行委員会の申昌浩委員長(朝青県本部非専従委員長=32、飲食業)が「今日は在日コリアンにスポットを当てて理解を深め、日本市民のみなさんが私たちと共存、共栄していく認識を確固とする契機にしてもらえれば」とあいさつ、参加者から大きな共感の拍手を受けた。

 次に、福岡県北九州市在住の在日2世、「東録さん(60)が「在日コリアンの人権について〜強制連行と在日の思い」と題し講演。在日コリアンが朝鮮半島から日本に渡り住むようになった経緯、これまでの同胞らの思い、そして強制連行、民族差別などの負の歴史を乗り越え、今後どのようにして未来を築いていくべきかについて語った。講演後、質疑応答が行われ、「在日コリアンは日本人との壁を無くすために日本人になればいいのではないか」との質問に「さんは、「民族の誇りを持って在日コリアンとしてのアイデンティティーを確立して生きていきたいという人たちがいる」「互いの違いを認めて理解し、共生社会を築いていくことが国際化の一歩」だと語った。

岡山初中生の舞踊

岡山初中中級部女生徒の舞踊

 正午、会館前に設置された特設ステージで各種公演が始まった。在日コリアンの若者の会によるサムルノリを皮切りに、県下の子どもたちが通う岡山初中の中級部女生徒の歌と踊り、楽器演奏、広島朝鮮歌舞団の各種公演が披露され、演目が終わるたびに観客席から熱い拍手が送られた。

 また、県立日野高校郷土芸能部の「荒神神楽」、米子がいな太鼓保存会ナショナルマイクロモータ連の「和太鼓」、地元青年による「アコースティックライブ」、やまつみスポーツクラブの子どもたちの「エアロダンス」など日本側の出演者も力の入った舞台。フィナーレでは、出演者と観客席が一体になり全員で歌謡曲「世界に1つだけの花」を合唱した。

 ステージの両脇には、「朝日友好親善」「民族教育」「祖国統一」などののぼりが立てられ、女性同盟と民団婦人会のバックアップのもと、朝青と民団青年会が出店したステージ周辺の屋台村ではチヂミやキムチ、トックなどの販売が行なわれ賑わった。

「もっと知るべき」

チビッコによるエアロダンス

 今学年度、米子市内の日本の中学から岡山初中中級部2年に編入した李美奈さんは楽器を演奏。「ウリハッキョで学んだことを伝えたい一心だった」と、朝鮮学校の存在を力強くアピールしていた。

 鳥取市から訪れた市民運動家の池本俊子さん(63)は、「最高の企画。こうしたことの積み重ねによって、連帯を強め広めていくことができる。拉致問題もあるが、日本は朝鮮半島に対する過去の歴史を真しに反省すべきだ」と語り、米子市在住の50代の男性は、「日本市民は在日コリアンについてもっと知り、みんなでこうしたイベントを盛り上げていくべきだ」と感想を述べていた。

 また、金順南さん(57)は「青年たちが多数参加し、同胞が日本市民と共存、共栄していこうとする意思を広く示すことができたのでは」と話していた。

申昌浩実行委員長(朝青県本部非専従委員長)の話

 フェスタ開催はまだスタートに過ぎないが、在日コリアン、とくにわれわれ若い世代が今後この地でどのような活動をすべきなのかを考えさせられるものとなった。情勢は厳しくとも引き下がるのではなく、積極的に打って出てこそ理解は深まると実感した。今後もこの勢いで、地域同胞社会に役立つことを模索していきたい。(羅基哲記者)

[朝鮮新報 2003.10.30]