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〈無年金同胞問題〉 京都同胞生活センターなど差別解消求め尽力

 同胞高齢、障害者の無年金問題と関連し、京都同胞生活センターでは、在日外国人「障害者」の年金訴訟を支える会、民団府地方本部の権益擁護委員会とともに、その差別解消を求めて粘り強い運動を展開している。無年金状態の在日外国人障害者は推定で5000人を上回るとされ、現在、全国8カ所で訴訟が行われている。京都での裁判は8月、京都地裁が原告敗訴を言い渡したが、大阪高裁に控訴することが決まっており、京都ではこの行方に大きな関心が寄せられている。

府の独自制度も

 国民年金法の国籍要件は1982年に撤廃されたが、その時点で60歳を超えた高齢者(現77歳)と、20歳を超えた障害者は年金受給の道を閉ざされた。本来は日本政府が救済措置を講じるべきだが、いまだに放置されたままだ。こうした現状を踏まえ、700を超える地方自治体が独自の給付金制度を設けている。

 近畿地方では滋賀県、大阪府、兵庫県などが特別給付金制度を導入しているが、京都府は救済措置を講じていない。府下では21の市町が制度を設けている。しかし、額は少なく暮しを支えるには程遠いのが実情だ。

 京都同胞生活センターは9月30日、在日外国人「障害者」の年金訴訟を支える会、民団府地方本部権益擁護委員会とともに、府議会議長に「請願書」を提出。救済措置を講じるよう国に働きかけるとともに、それまでの暫定措置として府が独自の給付制度を設けることなどを求めた。

 なお請願書には、自民、民主、公明、新政会(保守系無所属)のすべての府議会会派の代表が紹介議員として名を連ね、10日、議会で決議された。

直接自分の声で

 「私たち原告のような在日無年金障害者は、全国で推定5000人います。同じように日本で生まれ育ちながら、国籍の違いでなぜ年金が支給されないのか。そうした年金制度の矛盾や差別に対する疑問を、みんな持っている。全国各地の仲間とともに国、厚生労働省に対して解決を求め続けてきたが、20年間何ら誠意ある対応はありませんでした。やむを得ず、裁判に訴えた私たち原告の気持ちを汲んでほしいと思います」

 訴訟裁判の最終意見陳述(3月)で、原告代表で聴覚障害者の金洙榮さんは「自分の声で直接、裁判長に伝えたい」と手話を使わず、声を出して訴えた。

 同裁判は全国8カ所で提訴されている無年金障害者裁判のなかで最初のもので、結果が注目されていた。敗訴したものの、実を結ぶため、原告らは大阪高裁への控訴を決めた。

[朝鮮新報 2003.10.22]