〈朝鮮統一支持全国集会決議〉 政府は信頼醸成し国交を |
2002年9月17日、わが国の小泉総理と朝鮮民主主義人民共和国・金正日国防委員長が合意して発表した「日朝平壌宣言」は、「日朝間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し実りある政治、経済、文化的関係を樹立することが、双方の基本的利益に合致するとともに、地域の平和と安定に大きく寄与するものとなる」との基本精神と原則を明確にし、今後の協議で取り扱うべき懸案問題について交渉の基本方向を示しました。これにより、植民地統治を含む1世紀にわたる不正常な両国関係が清算され、その他の懸案問題が解決される道筋ができ、北東アジアの対立関係が解消されるとして世界各国から歓迎されました。 しかし同時に公表された日本人拉致事件の事実と犠牲者の存在は、私たちにも強い衝撃を与えました。この問題をどのように解決するかは、小泉総理が記者会見で明言したとおり、今後の正常化交渉で協議されるはずでした。しかし、その後の展開は大きくこれとかけ離れたものとなっています。 反朝鮮勢力は、拉致問題を利用して、マスコミとともに朝鮮に対する敵対感情をあおり、外交当局への非難と共和国への圧力や制裁を主張し、交渉による早期解決を妨害しています。これは人道に反する行為であるとともに、日本における忌まわしい過去の歴史を覆い隠すものにほかなりません。しかし、政府はこの状況を背景にして平壌宣言合意の責任を放棄し、朝鮮を敵国とする攻撃的軍備の増強をはかるなど、本末転倒の動きをしています。 一方、マスコミなどを通じて形成されつつある朝鮮観は、植民地時代を想起させるものがあります。これは、過去の国の誤りを正しく考えず、民族の違いを共通の立場で理解することを教えないわが国の教育の欠陥に起因していると言わなければなりません。文科省の外国人学校卒業生に対する大学入学資格認定において、欧米系学校とアジア民族系学校の取扱いの違い、とりわけ朝鮮学校をその対象から外す差別は、機会均等を基本とする教育の原点を踏み外した民族蔑視であり、現代において許されるものではなく、新たなる「脱亜入欧」により、アジアにおいてわが国の孤立を進めるものにほかなりません。これは日朝平壌宣言の基本精神にも反するものであり、認めることはできません。 私たちは、平壌宣言の基本精神に基づき、日本政府が、両国が抱える人権問題と真剣に向き合い、包括的な解決をめざすこと、そのことを通じて双方の信頼関係を醸成し、さらに正常化を進めるよう強く要求します。 2003年10月5日 [朝鮮新報 2003.10.9] |