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外国人学校、民族教育を支える全国連絡会結成

全国各地から朝鮮学校支援団体関係者らが集まった結成集会

 朝鮮学校を支援する日本の市民団体でつくる「外国人学校、民族教育を支える全国連絡会」(以下連絡会)が発足した。結成総会が6日、東京都文京区の文京シビックセンターで行われ、新潟、埼玉、千葉、西東京、長野、大阪、松山、広島などから各団体、朝鮮学校関係者ら54人が参加した(機関決定のため参加保留中の団体を含む)。総会では多賀秀敏早稲田大学教授(「朝鮮学校を支援する新潟県民の会」)が代表に選ばれたほか、会則、今後の活動内容などについて討議が交わされた。連絡会は朝鮮学校をはじめとする外国人学校、民族学校の1条校に準じた処遇の実現を目指すもので、@経験交流や情報交換A日本政府、国会への要請行動B支援団体や個人への参加呼びかけ−などを行っていく。各地の「点」を「線」で結ぶ取り組みが始まった。(李明花記者)

地域運動の参考に

 「朝鮮学校の処遇改善には全国的な運動の高まりや政府に対する働きかけが不可欠だ」−94年、全国に先駆けて結成された「朝鮮学校を支援する新潟県民の会」(以下、「県民の会」)では、このような思いから01年12月、「朝鮮学校を支援する全国組織準備会」を発足。全国各地で朝鮮学校を支援している団体に交流と連帯を呼びかけてきた。

 そんななか準備会では、外国人学校卒業生の大学受験資格問題を契機に今年3月と7月、文科省に対し朝鮮学校をはじめとする外国人学校卒業生に大学受験資格と処遇改善を求める要請活動を実施。新潟、埼玉、大阪の各支援団体が母体となって今回の連絡会結成に至った。

 86年、地域朝青とともに全国で初めてサマースクールを開催し、自身が受け持った日校生(日本学校に通う同胞学生)に朝鮮人として生きるきっかけを与えてきた「民族教育の未来を考える・ネットワーク広島」代表の児玉戒三さんは、「処遇改善など国政レベルで解決しなければならない制度的差別や法的な問題となると、地域ではどのように対応していけばいいか分からないこともある。そんな時、連絡会の活動を参考にできれば心強い」と期待を寄せる。

参加を呼びかけ

 2部では記念行事として「外国人学校、民族教育を考えるシンポジウム」が行われ、金舜植(外国人学校、民族学校の問題を考える弁護士有志の会、在日本朝鮮人人権協会会員)、鈴木孝雄(元日弁連・朝鮮学校差別是正勧告担当)の両弁護士、新潟朝鮮初中級学校の李辰和校長が発言した。

 「子どもたちが何不自由なく、伸び伸びと学校に通える日を1日も早く実現させたい」−李校長は拉致問題や「万景峰92」号入港阻止、総聯施設への銃撃などさまざまな事件、問題のために、現在も常時7、8人の警官が24時間体制で学校警備に当たっている異常な状況下で、通学せざるをえない子どもたちの現状を訴えた。

 「県民の会」事務局長の高野秀男さんは、「現在表面化している差別の根っこには日本政府の朝鮮学校に対する制度的差別がある。存続の危機に立たされている学校を守っていくためには地域ごとはもちろん全国的な運動を通じ、政府に処遇改善を訴えていく必要性がある」と強調する。

 連絡会事務局長の嶋田和彦さん(朝鮮学校を支える会・埼玉)は、「今後も各地の支援団体、個人に参加を呼びかけていきたい」と語る。

 連絡会では当面、交流紙の発行や文科省などへの要請活動、国会議員連盟結成に向けた働きかけを行っていく予定だ。ホームページの開設も視野に入れている。

 「まずは、支援団体同士の輪を広げていくことから朝鮮学校差別の現状を日本社会に発信し、是正に向けて取り組んでいきたい」(多賀秀敏さん)

 連絡会に関する問い合わせは「外国人学校、民族教育を支える全国連絡会」(新潟市新光町6―2、新潟県平和運動センター内、TEL 025・281・8100)まで。

[朝鮮新報 2003.9.16]