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関東大震災朝鮮人虐殺関連日弁連調査報告書(1)

 日本弁護士連合会(日弁連)は8月25日、関東大震災時における朝鮮人、中国人虐殺問題と関連して国がその責任を認め、被害者、遺族に謝罪するよう求める小泉純一郎首相宛ての勧告書を提出した。同勧告書は、虐殺事件の目撃者である文戊仙さん(95、神奈川県横浜市在住)の人権救済申立に対し、日弁連人権擁護委員会が7月にまとめた調査報告書に基づいたものだ。今号より同報告書の内容を紹介する。

第1章 申立の概要

 1999年12月10日提出の人権救済申立書によると本件申立の概要は次のとおりである。

 第1 当事者

 申立人 文戊仙(ムンムソン)
 現住所、本籍、代理人省略
 相手方 日本政府

 第2 申立の趣旨

 1)関東大震災時の朝鮮人虐殺は「集団虐殺」であり、重大な人権侵害であることを明らかにせよ。
 2)朝鮮人虐殺は、外国人虐殺であるから、国際法により外国人(他民族)に対する集団虐殺行為としての責任があることを明らかにせよ。
 3)集団虐殺の加害責任者を日本の国内法により処罰しなかった日本政府の責任を明らかにせよ。
 4)日本政府は、虐殺の責任を認め、謝罪せよ。在日朝鮮人、在日外国人に対する集団虐殺の再発防止措置をとれ。

 第3 申立の理由(概要)

 申立人は、関東大震災発生当時から、日本に在住する在日朝鮮人である。
 申立人は、関東大震災の当時東京都品川区大井に居住していたが、父の知人が関東大震災直後に虐殺されたり、虐殺をうけた朝鮮人が遺体に残酷な仕打ちをうけているのをみたりして、深く傷ついた。
 申立人は、本件虐殺事件で、政府が責任を認め、あるいは謝罪したことは一切ないと主張している。
 同種の事件を再発防止するためにも虐殺事件の政府の責任を明らかにしてほしい。

第2章 調査の経緯

 事件委員会は、申立人本人から事情聴取を行い、また、別紙目録記載のすでに刊行された資料集、史料集を閲覧検討した。とくに、重要な史料については原本ないし現物にあたり、それが現存しない、あるいは、確認困難である場合には、その史(資)料の信ぴょう性の確認に万全を期した。

 史(資)料の確認のために、赴いたのは、東京都公文書館、防衛庁史料編纂所、憲政資料室等である。

 また、朝鮮人虐殺の加害者を処罰した刑事事件の確定判決閲覧謄写のため、前橋、横浜、浦和、千葉の各地方検察庁を訪問して、閲覧謄写の申請をした。

 上記各地方検察庁では結局のところ確定記録保存法にいう保存記録ではないとの確認を得たが、結局上記各地検からは閲覧許可を獲得するにいたらなかった。

 このため、事件委員会は元立教大学教授山田昭次氏が歴史研究の目的で収集した判決のコピーを閲覧して、事実認定の資料として活用させていただいた。

 なお、関東大震災の際に発生した殺害等に関しては、朝鮮人、中国人のみならず、社会主義者と目された日本人あるいは朝鮮人と間違われて殺害された人などが知られているが、申立の趣旨から、本報告書では、朝鮮人、中国人の被害に限定して検討する。

[朝鮮新報 2003.9.2]