〈関東大震災−鮮人虐殺から80年〉 神奈川で写真パネル展 |
関東大震災朝鮮人虐殺(1923年9月)80周年に際し、神奈川県の横須賀三浦教育会館で13〜16日、「関東大震災と朝鮮人強制連行」と題して写真パネル展が開催され、同胞と日本市民らが観覧した。虐殺された朝鮮人は6600人を超えると言われ、うち神奈川県では2000人が犠牲になったという。(羅基哲記者)
写真パネル展は、朝・日合同による神奈川県朝鮮人強制連行真相調査団が主催したもの。同調査団の原田章弘日本人側事務局長(横須賀市議会議員)は、「関東大震災時、日本の朝鮮人蔑視意識から虐殺が起き、その後、朝鮮半島から強制連行された朝鮮人の労働力によって軍事都市、横須賀の建設が進められた史実、また戦後の朝鮮人の生き様について広く伝えたかった」と開催に至る思いを語る。 会場には、関東大震災と朝鮮人大虐殺、戦前、戦時中の朝鮮人強制連行、強制労働、相模湖ダムと強制連行、「慰安婦」被害者、戦後の在日朝鮮人などをテーマにしたパネル60余点が展示された。 とくに虐殺事件については、同調査団が1999年、事件を目撃した横浜在住の同胞女性を探し出し、彼女が事件の真相究明と謝罪を求めて同年末に日本弁護士連合会に人権救済申立を行ったことなども紹介した。 また強制連行については、横須賀市内の各学校に残されている学籍簿などに、強制連行者と見られる朝鮮人の子どもの名前が多数あることや、戦争末期に掘られた地下工場や防空壕建設に朝鮮人が従事したことを報じた新聞などが紹介された。 一方、会場内では、ビデオ「関東大震災・朝鮮人虐殺80年−歴史を繰り返してはならない」や、県内の地下壕建設現場や秋田県の川山鉱山で働いた同胞の証言ビデオが放映された。 観覧者には展示内容の解説集が配られた。 同調査団では今後、真の朝・日友好親善を築いていくために、今回の展示内容とともに、朝鮮人と関わりのある地域の歴史を掘り起した内容も紹介する、地域巡回展なども企画していきたいとしている。 観覧者の感想文から 「たいへんよい展示を見ることができた。歴史の事実は消し去ることはできない。真実を冷静に学ぶことは日本人全員に必要だ。生きていれば100歳になる父から戦前、戦時中に、朝鮮の人々に軍が防空壕掘りを強制したという話を聞かされた。もっと詳しく聞いていればよかったと悔やんでいる」 「初めて朝鮮人強制連行の実態写真を目にした。このような写真展を見ることができ感謝している。私ども先人が行った行為に対し、深く謝罪をしたい気持ちでいっぱいになった」 「未来のために過去の歴史をしっかり伝えることの大切さを昨今つとに思う。朝鮮半島と隣り合わせの国として、真の東北アジアの友好関係を築くために、私たち若い世代が手を取り合い、歴史を知り、また乗り越えていくための活動を広めていきたいと思う」 「かねがね話に聞いていたことを、写真やデータを通じて当時の実情の一部を歴史的事実として認識することができた」 「幼さの残るいたいけな少年が裸で働かされている写真、うつろな顔のやせ衰えたあばら骨の見える裸の人の写真など、強制連行の非人間性を告発している。『歴史を繰り返してはならない』のビデオも虐殺のすさまじさが語られていた。拉致報道以後、在日の知人から『怖くて外に出られない』と電話がきた。昨今の拉致報道狂乱の不気味さをみれば、関東大震災時の朝鮮人虐殺が遠い過去の出来事ではすまなくなる」 「どの写真にも驚かされたが、とくに最後に展示された朝鮮人が戦後、横須賀でどのように生きてきたかがわかる写真はとても貴重なものだ」 [朝鮮新報 2003.8.21] |