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総連新潟県本部銃撃、ハナ信用組合新潟支店爆弾脅迫事件−日本各界の怒りの声

暴力に屈せず共に進もう

 7月29日夜、朝鮮総連新潟県本部が銃撃され、金融機関ハナ信用組合新潟支店わきの通路に可燃性ガスボンベを詰めた発火物が仕掛けられた。犯人は「ケンコクギユウグン」と名乗ったが、いかなる団体、組織であれ到底許せない暴挙である。幸い人的被害はなかったが、市民を恐怖に陥れた。私たちは警察、検察当局が犯人の逮捕とその背後勢力の解明に全力を挙げることを強く求める。

 今回の事件はまさにテロであり、在日の朝鮮諸団体、個人の諸権利、人命を暴力によって奪うことを予告し、さらに日朝友好親善にかかわる日本人の行動を制約、牽制する意図を持つことは明らかである。

 日本の36年間にわたる朝鮮の植民地支配は悲惨な状況をもたらしたが、敗戦後の今日も在日朝鮮人の諸権利は保障されず、明治以降続いてきた朝鮮民族に対する差別意識は解消されていない。その根源的理由は「日朝国交正常化」「朝鮮半島統一」の問題が今日まで放置されていることにある。私たちは暴力に屈せず解決まで勇気をもって進みます。ともにがんばりましょう。(吉田正雄、日朝農業交流日本協会会長)

人権擁護活動を強める

 強い憤りを禁じ得ません。暴力で有無を言わさずに気にくわない者を排除しようとする野蛮な行為に何の道理もありません。下劣極まりない。

 犯人の目的は、自らの暴力行為の責任を共和国=在日朝鮮人に転嫁することによって在日朝鮮人を日本社会内で孤立させること、在日朝鮮人の人権擁護のために活動する多くの日本人を萎縮させることなどにあると思われます。

 法律家として、また日本人であることに誇りを持ちたいからこそ、そんな卑劣な意図に乗ることは断じてできません。

 このようなときこそ、在日朝鮮人の人権を擁護し、多民族、多文化の共生する社会の創造に向けた活動を強める必要があるとの意を強くしています。(杉尾健太郎、弁護士)

嘆き禁じえぬ嫌がらせの横行

 国際的な経済専門誌たる「東洋経済新報」の主筆だった石橋湛山翁(後に自民党の総裁総理)が戦前、「日本小国家」論のもと、朝鮮台湾の返還を唱えた勇気と見識とを今に敬慕する小生が、日本が大国などと言うのは明らかに矛盾している。

 それを承知の上で、昨今の朝鮮総連関係施設の放火事件や朝鮮民族への嫌がらせの横行には、日本人もここまで矮小化したか、という嘆きを禁じ得ぬ。

 いわゆる拉致が北朝鮮当局がらみの権力犯罪だったことは確かである。が、それに当然の憤激を覚える日本人は戦前戦中に日本が朝鮮に対して犯した権力犯罪の規模の大きさや時期の長さにも恥じらいと悲しみとを覚えるべきだろう。かの関東大震災の折に、実に7000人に近い朝鮮同胞―当時は南北分断はまだなかった―が日本の官民の手で惨殺された、という事実も留めてよい。

 この手の歴史認識とバランス感覚とが、「大国」民としての矜持といえるだろう。(國弘正雄、「月刊軍縮資料」編集人)

身近な隣人、友好と平和を

 恐れていたことが起きてしまった。犯行声明を出した「ケンコクギユウグン」「朝鮮征伐隊」なる者の背景と事件の真相が解明されるべきは当然である。

 同時に私たちは、関東大震災時、朝鮮人を虐殺したその多くが日本の「普通の庶民」であったことを想起せざるをえない。

 首相が訪朝し、内外に発表した「日・朝平壌宣言」を無きものにするがごとき日本政府の共和国敵視、対米追随の戦争政策。メディアによる「北朝鮮悪玉報道」により、いま日本社会には北朝鮮―朝鮮総連―朝鮮人に対する差別、敵視、排外思想がまかり通っている。

 私たちは日本政府に対する政策転換はもとより、メディアに対し公正な報道を申し入れていくと同時に、地域社会が在日朝鮮人を閉め出すようなことが決して起きないように、身近な隣人たちに対して心尽くして日本と朝鮮の歴史を、友好と平和を説かねばならない。(津和慶子、I女性会議議長)

重いマスコミの責任

 日本人が多くの無辜の在日朝鮮人を虐殺した関東大震災80周年まであと1カ月という時期に事件は起きた。その卑劣な犯行に対して強い憤りを禁じえない。今の日本社会では、インターネットを利用して爆発物を作ったり拳銃を手に入れたりすることが簡単にできる。マスコミがこれまで、どれだけ「北の脅威」をあおってきたかを思い起こせば、決してあり得ないことではないし、今後さらに凶暴化して続発する恐れもある。また、その行為とともに「在日朝鮮人を日本から駆逐する」とした犯行声明に、強い憤りを覚える。マスコミの責任はきわめて重いと言わざるを得ない。(北川広和、「日韓分析」編集人)

[朝鮮新報 2003.8.5]