〈関東大震災−朝鮮人虐殺から80年〉 虐殺事件に関するコーナーが常設されている国立歴史民俗博物館 |
千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館には、関東大震災朝鮮人虐殺事件に関するコーナーが常設されている。 同館は、日本の歴史と文化について総合的に研究、展示する日本唯一の国立博物館で、虐殺事件に関するコーナーは19世紀後半の近代から1920年代までを展示した第5展示室に設けられている。設置は8年前。 メインは、事件の内容が時系列に映し出される8面マルチ画面。デマ、流言が日本の民衆にどのような影響を与え、虐殺事件へと発展、拡大していったのか。客観的な資料や証言を基にナレーターが分かりやすく解説している。また日本人目撃者が当時(幼い時)に描いた虐殺を表す絵や、各地で営まれている追悼祭の様子も紹介される。 ほかには、体験を絵巻風にまとめたものが展示されている。「不逞鮮人」を警戒するよう民衆に指示する憲兵、虐殺のために刀を取り出す民衆などが描かれている。 また、コーナーの一角には電子パネルが設置され、日本による朝鮮植民地支配、震災前の在日朝鮮人の生活、そして虐殺事件について知ることができる。虐殺数については、日本政府(司法省)は233人としているが、当時の朝鮮人による調査によると、6618人。 同館教授の高橋敏文学博士は、「日本の近代史の中にも正の歴史と負の歴史がある。負の歴史も史実として伝えていかなければならない」と述べ、「中国人虐殺については政府が名簿を公開しているが、朝鮮人は公開されていない」とも語った。 なお、第1展示室では、日本列島に人類が登場した旧石器時代から中央集権体系の律令国家が成立した奈良時代までの文化形成過程を展示し、第2展示室では平安時代から中世、安土桃山時代までの文化と生活を、貴族や武士、庶民など各層の立場から探っている。 第3展示室では、江戸時代の百姓の世界と都市の繁栄を対象的に展示。第4展示室では「日本人の民俗世界」と題し、都市、農村、山村、漁村、そして南島のそれぞれの生活様式を紹介している。(羅基哲記者) [朝鮮新報 2003.8.2] |