〈大学受験資格問題〉 文部科学委員会答弁抜粋 |
外国人学校卒業生の大学受験資格問題と関連し、9日の衆院文部科学委員会で、赤羽一嘉委員と牧野聖修議員が行った質問と政府回答(遠山敦子大臣、河村建夫副大臣、池坊保子政務官、玉井日出夫大臣官房総括審議官、遠藤純一郎高等教育局長)の抜粋を紹介する。 赤羽 2月の予算委員会の分科会で、いわゆる外国人学校の卒業生に対する大学入学資格は、この国際社会であるからどんどん与えられるべきだ、といった論であったが、この点についての文部科学省の見解は。 遠藤 具体的な結論の時期を決めて検討しているものではなく、どのような対応が可能か、現在、鋭意検討をしている。 赤羽 期限を決めていないという、そんな無責任な対応があるか。受験の期限というのは決まっており、高校3年生、一生涯の、大学受験というのは大変大きな出来事だ。 赤羽 規制緩和の閣議決定もあるが。 遠山 そういう御意見があるということも存じている。この問題についての国民の要望なりいろいろなことを考えながら、また日本の子供たちも、高校を卒業していない人は、特別のものは別として、大検を受けて大学に入るというような状況にもなっている。そういうことを前提にしたうえで、さまざまなことを考えて今検討中ということで、そして同時に、来年の4月の受験生にとって不都合がないように時期も考えながらやっていくということで、今準備をしているという段階だ。 赤羽 次に、この問題があったときに、年度末というか3月末に、いわゆるインターナショナルスクールの設置を主たる目的とする学校法人について特定公益増進法人に追加する、この問題について質問をしたい。政府答弁は、この問題といわゆる外国人学校の卒業生の大学入学資格は全く別の問題だ、としている。これはちょっと、本当にそうなのかなと思う。 玉井 今回の税制改正は、対内直接投資を促進し、海外の優秀な人材を呼び込むうえで、日本に来ている外国人の子女に対する教育上の環境整備を行うことが重要だ、その観点で税制面での支援を行うという政策目的を持っている。 赤羽 今の答弁だと、アジア系の外国人学校であっても、いわゆるその基準を満たせば特定公益増進法人に追加される、その対象になり得る、ということか。 玉井 今回の税制改正に係るその目的、そして基準に照らして該当すれば、アジア系の外国人学校でもこのような政策目的を踏まえた基準を満たすということになると、特定公益増進法人の対象になり得る、という仕組みだ。 赤羽 だから役所というのはずるい。中華学校が国際バカロレアとかWASCの認定される可能性なんて、ほとんどない。 牧野 3月27日、民主党を代表して数名が大臣室に伺い、外国人学校卒業生に対してできるだけ門戸を開くべきではなかろうか、そう申し入れた。そのとき、大臣の答弁は、パブリックコメント(当日が最終日)を見て、それを参考にして決断したい、オール・オア・ナッシングで臨みます、そういうふうに言われた。ところが、その後、一向にはかばかしくないという状況にある。 遠山 これは、私の個人的な意見で対応するような問題ではない。わが省としてどのように対応していくかという大変大事な問題だ。(パブリックコメントの結果も)意見として受けとめて、そして、制度としてどのようにやっていくかということを目下検討中だ。来年度の入学者にできるだけ不都合のないようにと思っているのは、時期的に、その人たちが困ることのないように、できるだけ広く、拡大するという話で、そういったことについて配慮していこうということだ。 牧野 パブリックコメントの件数は1万3343件。その中で、アジア系の外国人学校の卒業生にも大学の入学試験の受験資格を与えるようにという意見は1万2779、96%だ。結論は出ているのではないか。 牧野 きょうの朝のNHKニュースで、京都大学は国立大学としては初めてアジア系の卒業生の受験資格を既に部局長会議で決定をして、近く文部科学省にそのことを申請するという決定がなされたようだが。文部科学省より先に、大学の方が進んでいる。大学院に門戸を開いたのも京大が先だった。 河村 外国人学校については国際的なバカロレア、そういう認定機関がある。ところが、アジア系の学校、中国語あるいは韓国語でそれを評価する機関がない。今いろいろ知恵を絞っている。 牧野 7日に党の仲間と、神奈川県の横浜の朝鮮系の学校と台湾系の中華学院を視察した。池坊政務官が2カ所ぐらい視察をされたというが、学校へ行くと、今まで文部省はだれ一人として調査にも何も来ていないと言っていたが。 遠藤 制度的な面を中心に検討しているということで、個々の学校に立ち入って調査するということは予定をしていない。 牧野 視察の感想は。 池坊 新学習指導要領に基づいた教科書をつくっており、母国語それから日本語も週に五日間やっていた。 [朝鮮新報 2003.7.25] |