〈大学受験資格問題〉 「弁護士有志の会」の文科省への質問書と同省の回答(下) |
6 学校教育法第82条の2は、専修学校の定義として、「(前段略)我が国に居住する外国人を専ら対象とするものを除く」と規定しているが、外国人学校をあえて専修学校から除外する理由は何か。 7 1965年の文部事務次官通達(文管振第210号)の二(3)において「朝鮮人を含めて一般にわが国に在住する外国人をもっぱら収容する教育施設の取り扱いについては、国際親善等の見地から、新しい制度を検討し、外国人学校の統一的取り扱いをはかりたい」との見解が示され、翌年、専修学校制度及び外国人学校制度の創設を内容とする学校教育法改正案が準備されているが、こうした経緯から、専修学校と外国人学校とを区別するため、前記除外規定が規定されたのではないか。 8 前記外国人学校制度創設を内容とした法改正が今日に至るまでなされていないにもかかわらず、現行の専修学校の定義に外国人学校除外規定が存続している理由は何か。 (文部科学省)(6、7、8をまとめて)専修学校は国民を前提に作った制度。外国人は念頭になかった。 9 施行規則69条6号は、「大学入学に関し、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者」として、「その他大学において、相当の年齢に達し、高等学校を卒業したものと同等以上の学力があると認めた者」を規定し、入学資格を独自に認定する権限を大学に付与していると解されるが、貴省の見解としてこの権限の有無ないし範囲の広狭について、大学の国立、公立、私立といった設置主体の違いによって異別はあると考えるか。 (文科省)設置主体によって違いはない。 10 大学のうちで施行規則69条6号に基づいて外国人学校の卒業生について入学資格を認めている例があるか。 (文科省)承知していない。 11 貴省の行政実例として、かつて佐賀大学学生部長からの問い合わせに対して大学学術局長名で回答し(昭和40年9月17日学大248号)、施行規則69条4号(現行6号)の運用については、「大学入学者選抜実施要項趣旨徹底協議会」において、国立大学においては受験生に対し大学入学資格検定(いわゆる大検)受検を指導するよう、文部省が要請していることに関連し、「大学入学資格については、全国統一的なものとして文部大臣の行う大学入学資格検定があり、各大学が個々に実施する必要がない。また、大学が独自に資格認定を実施することは、その程度、取り扱いに差を生じるおそれがある。(中略)以上の理由により、国立大学にあっては大学独自の入学資格認定はできるかぎり避けるよう指導しているが、公立及び私立の大学にあっても、国立の大学に準じて取り扱われるよう各大学に要請している」「大学入学資格検定規程制定以降特に国立大学にあってはこの制度を活用するよう指導している」と回答している。また、旧4号(現行6号)に関し、「原則的には死文化するものと考えて差支えない」(死文化とは、同号の文言上は、大学独自に入学資格を認定する権限を認めているにもかかわらず、大検を受検させることで結果的に大学独自の認定ができないことを指していると思われる)と明確に回答している。以上の見解は現在も変更されていないのか。 12 前項の見解が現在も変更されていない場合、前項の行政指導は、各大学に独自の入学資格を認めるべきではないという考え方に立脚しており、施行規則69条6号の各大学に独自の入学資格認定権を付与するという立法趣旨を没却ないしこれに背馳するものではないか。 (文科省)(11、12をまとめて)現在も死文化している。個別の大学には権限はない。 13 施行規則第70条は「大学の専攻科又は大学院への入学に関し大学を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者」について定め、1999年文部省令34号により、6号として「大学院において、個別の入学資格審査により、大学を卒業した者と同等以上の学力があると認めた者で、22歳に達したもの」との規定を新設し、この条項により、国立大学を含めた各大学は、朝鮮大学校及びアメリカの大学日本校の卒業生に入学資格を認定している。とすると、同様に、施行規則第69条に「大学において、個別の入学資格審査により、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認めた者で、18歳に達したもの」との規定を新設し、外国人学校の高校相当課程修了生に対し、各大学独自の入学資格認定権限を明示することもできるのではないか。昨年7月、文部科学省は、総合規制改革会議がインターナショナルスクール修了者に大学入学資格を認めるよう答申したことを受けて、大学入学資格の緩和を検討し、上記のように省令改正を行う方針を固めたと報道されたが(毎日新聞2002年7月2日)、この改正を行わなかった理由は何か。 (文科省)検討中だから言えない。 [朝鮮新報 2003.7.17] |