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〈大学受験資格問題〉 「弁護士有志の会」の文科省への質問書と同省の回答(上)

 「外国人学校、民族学校の問題を考える弁護士有志の会」(共同代表=新美隆、丹羽雅雄弁護士)が大学受験資格に関する諸規定や取り扱いには多くの法的問題点があるとして、遠山敦子文部科学大臣に質問した(6月5日)件で9日、亀田徹高等教育局大学課課長補佐らから「有志の会」に回答があった。2回に分けて紹介する(文中の文部省などは当時)。

  学校教育法第56条1項は、「大学に入学することのできる者は、高等学校若しくは中等教育学校を卒業した者もしくは通常の課程による12年の学校教育を修了した者(通常の課程以外の課程によりこれに相当する学校教育を修了した者を含む)又は文部科学大臣の定めるところにより、これと同等以上の学力があると認められた者とする」と定めており、同法施行規則69条は、これをうけて「大学入学に関し、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者」として、1号ないし6号で具体的に定めている。

 1号では、「外国において、学校教育における12年の課程を修了した者又はこれに準ずる者で文部科学大臣の指定した者」として、前段については、その教育内容を一切問わず、大学への入学資格を認めている。

 この趣旨は、各国の学校教育制度が、その国の歴史や文化などを反映し、それぞれの国においてさまざまであり、大学入学資格についても、学校の修了をもって付与する国や一定の資格を有することが求められている国など区々あり多様であることから、各国の歴史や文化の多様性を尊重する国際的観点より、国ごとに異なる教育内容に立ち入ることなく、履修した正規の学校教育の年数が日本の高等学校卒業と同様の12年であることをもってその水準を担保する、いわゆる「課程年数主義」の考え方から認めていると理解してよいか。

 (文科省)その通りだ。

  1号の趣旨が上記のとおりとすると、本国政府又は本国の政府により認定を受けた団体が、当該国の学校教育における12年の課程と同等の課程を有するものとして認定した外国人学校の高校相当課程を修了した者についても、課程年数主義の見地から1号前段に基づいて大学の入学資格を認められないか。

 (文科省)検討中。

  仮に、1号前段に基づいて外国人学校高校相当課程修了者の入学資格を認めることができないとした場合、やはり課程年数主義の見地から、1号後段の「これに準ずる者で文部大臣の指定した者」として認めることができるのではないか。もし認められないとした場合は、その理由も併せ回答願いたい。

 (文科省)検討中。

  施行規則69条3号では、「大学入学に関し、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者」として、単に「文部科学大臣の指定した者」と規定し、これを受けて文部省告示第47号(1948年5月31日、大学入学に関し、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者を指定)は、21号(1985年9月に追加)において「専修学校の高等課程の修業年限3年以上の課程で文部科学大臣が別に指定したものを文部科学大臣が定める日以後に修了した者」としている。文部科学大臣が具体的な指定をなすにあたって、同年9月19日付け文部省高等教育局長通知により「大学入学資格に係る専修学校高等課程の指定に関する実施要項」が定められ、その第3項「指定の要件」において、@修業年限3年以上A卒業に必要な総授業時数が2590単位時間以上(当初は2800単位時間)B卒業に必要な普通科目(国語、社会、数学、理科又は外国語)の総授業時数は420単位時間以上であること―などを定めている。

 1985年の改正前、専修学校高等課程修了生は、大学入学資格が認められず、外国人学校高校相当課程修了生とおなじく施行規則69条4号の「大学入学資格検定」に合格しなければならなかったところ、「大学入学の機会を拡大するとともに、後期中等教育の多様化、活性化に資することを目的」(上記文部省高等教育局長通知)として、上記要項により大学入学資格が認められているのである。ところが、朝鮮高級学校をはじめとする外国人学校高校相当課程の多くは同実施要項に定める要件を充たしており、かつ、専修学校よりもその教育課程の編成、内容は学校教育法1条の高等学校に近いのにもかかわらず、日本の大学入学資格が認められない理由は何か。

 (文科省)各種学校だから。制度上の問題だ。

  上記通知の「大学入学の機会を拡大するとともに、後期中等教育の多様化、活性化に資する」という目的からすると、外国人学校高校相当課程についても、施行規則69条3号によって指定することが適切であると考えられるが、適切でないと考える場合はその理由を示されたい。

 (文科省)検討中。

(つづく)

[朝鮮新報 2003.7.15]