〈関東大震災−朝鮮人虐殺から80年〉 埼玉で写真展「尊」開催 |
関東大震災朝鮮人虐殺80周年に際し10〜11日、埼玉大宮ソニックシティ地下展示会場で写真展「尊」(写真で綴る朝鮮と日本の歴史)が開催され、600人を超える同胞と日本市民らが観覧した。同実行委(委員長=廉瀚・埼玉県青商会会長)が企画したもの。「尊」という言葉には、命の尊さ、互いに尊重、民族の尊厳を守り、それを知るという意味が込められている。埼玉県では関東大震災時の1923年9月1日の夕方から2日にかけて、東京からの避難者が「今、上野の山では日本軍と朝鮮人との内乱が起きて、機関銃はなる、爆弾ははねるやで、日本はつぶされる」といった朝鮮人に関する流言を広げ、川口、大宮、桶川、熊谷、県北地方などで虐殺が始まった。その数は322〜400人といわれる。観覧者の感想文の一部を紹介する。
●同胞の感想 「写真展は植民地の前からたどり、そして解放までの歴史をつづったもので、とても分かりやすかった。とくに震災時、軍だけではなく民間の手によって朝鮮人が殺されたという事実は、大きな意味を持つ。今、拉致問題を『理由』に、在日の生徒への嫌がらせが起きているが、それはまだまだ日本社会に『3国人差別』が根強く残っていることを意味する。日本人との間に真の友好関係が築かれる日を望んでいる」(21歳の女性) 「日本の過去の罪悪を暴露する貴重な資料だ。日本は朝鮮に対し犯した過去の罪に背を向けているが、絶対に許されることではない」(74歳の男性)
●日本人の感想 「朝鮮人への差別、虐待は子どもの頃の現実的な体験だった。その頃を思い出し、展示に感謝している」(73歳の男性) 「私たちに必要なことは、朝鮮を侵略した日本の歴史を見つめ直すことだ。隠された歴史と事実を踏まえ、足元から国際化、日本に住む朝鮮人との共生社会を実現させる必要がある」(66歳の男性) 「朝鮮人虐殺の話は知っていたが、被害者側からの訴えとして『事実』を突きつけられ、あ然とし、苦しむものがある」(63歳の男性) 「子どもの頃、父から朝鮮人が井戸に毒を入れ、主婦の格好をして爆薬を投げた、などの話を聞かされ信じ込んだ。(日本)政府が土地を奪い、生きる道を探して海を渡ってきた人たちを残酷にも…。また素朴な日本の一般農民、市民を殺りく者にさせた権力者に本当に腹がたつ。…49年生まれであるが、教育の場で、朝鮮人にやったことについては何も教わらなかった。有事法制などがあるが、マスコミ関係者は自分の恥を知って立ち上がってほしい」(54歳の男性) 「6600人以上と言われる犠牲に対し、日本は真相も解明せず、謝罪すら行っていない。今の日本社会の情況は23年当時に似ている。このような時こそ過去に学び、二度と同じことが起きないよう考えていく必要がある」(59歳の男性) 「ぜひたくさんの日本人、とくに若い人が見たらと思う。現在、マスコミから垂れ流されている民族差別を助長するかのような情報の洪水に流されないために」(48歳の男性) 「ショックだった。あの情況を目のあたりにした朝鮮人と日本人の相互理解は非常に難しいと思う。しかし、若者同士は互いを理解していく必要がある」(21歳の女性) [朝鮮新報 2003.7.15] |