〈大学受験資格問題〉 京都大学付与「適当だ」と判断、文科省に要望へ |
京都大学は9日、国立大では初めて、朝鮮学校などをはじめとするすべての外国人学校卒業生に受験資格を認めることが適当だと判断し、文部科学省に受験資格が認められるよう要望していくことを発表した。文科省の同意を得ることができれば7月末までにも受験を希望する生徒に認定書を交付する。要望の具体的な日時などについては、「総長に一任する」(尾池和夫・副学長)。一方8日には、来春の進学を希望する京都朝高3年生と同校卒業生の計2人が代理人の弁護士を通じて同大に認定書の交付を申請。7月末までの交付を求めた。京大の発表は「一歩前進」で、いまだに外国人学校卒業生に資格を付与するかどうかの態度は示していない文科省に判断を迫るものだ。 すでに36大学に申請
京大の水野直樹人文科学研究所教授は発表について、「非常に意味のある大きな前進だ」と述べる一方で、「文科省はすべての大学の受験資格を認めるか、それができないのであれば各大学の判断にゆだねるということを表明すべきだ」と強調した。 京大には京都朝高生らによる認定書申請のほかに、先月、東京朝高生3人も同様の申請をしている。 この問題をめぐり結成された「外国人学校・民族学校の問題を考える弁護士有志の会」ではすでに、36の国立大に入学資格認定書を交付するよう、朝鮮学校生徒の代理人申請をしている。 同会の師岡康子弁護士は、「第2、第3の京大が出てくるよう国立大に働きかけたい」と意気込みを語った。 さらに団結を この朗報に接した京都朝高2年の南政花さんは、日本の大学への進学を目指している。「新たな目標ができた。京大だけではなく、すべての国立大の受験資格が認められれば、もっと大きな励みになる」。 同校の李宗一校長は、「すべての国立大が門戸を開くまで、民族的、制度的差別がなくなるまで全力を尽くしたい。それにはすべての外国人学校が団結して、文科省に権利を求めていく必要がある」と呼びかけた。 処遇改善の突破口に 同胞らは、受験資格問題とともに、朝鮮学校全般の処遇改善を求めている。 水野教授は、「外国人学校の存在を認め、受験資格はもちろん税制の優遇措置、自治体の補助金を受けられるような法的地位をはっきり与えるべきだ。そこには自国の言葉や文化、歴史を学べる教育が最低限保障されなければならない。日本は対応をきちんとすべきだ」と語る。 文科省が朝鮮学校を日本の学校と同等に扱い、処遇を改善させるうえで、受験資格問題はその突破口となろう。(李明花記者) [朝鮮新報 2003.7.10] |