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〈大学受験資格問題〉 日本各界、「明らかにおかしい文科省のアジア系排除」と一様に指摘

 アジア系やブラジル人学校を排除し、英米の3学校評価機関の認定を受けたインターナショナルスクール16校にのみ大学受験資格を認めるとする文部科学省方針の「再検討」発表から3カ月。方針の撤廃とすべての子どもたちの学ぶ権利を求める運動が山場を迎えた6月、国会議員、国立大教員、弁護士、保護者、学生をはじめとする日本人、同胞たちの声が最高潮に達した。その声は一様に「文科省の方針は明らかにおかしい」というものだった。

スクラム組み

朝鮮、韓国、中華学校を同時に訪れた民主党議員ら(16日、写真は東京中華学校)

 18日、東京都千代田区の衆議院第2議員会館で行われた院内集会では、大島令子(社民)、川田悦子(無所属)ら13人の国会議員とその秘書ら合わせて約30人も参加し、連帯のメッセージを述べた。

 1438人分の賛同署名を集めた「国立大教員の声明」呼びかけ人の1人でもある鵜飼哲・一橋大教授は、「一国立大教員として責任を感じる。すべての関係者とスクラムを組み、差別の壁を乗り越えたい」と強調。

 大学入学資格に関する質問書を文科省に提出した「外国人学校、民族学校の問題を考える弁護士有志の会」では弁護士が代理人となり、東大、一橋大、東京外語大の各国立大にそれぞれ朝鮮学校生徒の入学資格認定書交付申請を行ったことを報告。共同代表の新美隆弁護士は、「方針は明らかな憲法違反。多数の声を合わせ、在日外国人の子どもたちの自己実現が制約されている状況をなんとかしたい」とし、今後も全国の各国立大で個別の代理人申請を実施し、具体的な個々の人権侵害の解消に向けてたたかっていくことを表明した。

制度的後押しを

 16日に東京朝鮮中高級学校、東京韓国学校、東京中華学校などアジア系の外国人学校を同時に訪問した民主党東京都連所属の国会議員、都議会議員11人は一様に、訪問した学校がいずれも大学受験資格が認められる「学力」を育むに十分な教育を施していると感想を話した。

 同党は3月にネクストキャビネット文科大臣名ですべての外国人学校に受験資格を認める要望書を文科省に提出。「在日外国人問題プロジェクトチーム」は朝鮮学校関係者から事情聴取をし、提言作成に取り組むなど、判断を渋る文科省の結論を引き出そうと外国人学校の「基礎的な調査」(和田宗春都議)に乗り出している。

 鈴木寛参院議員は、「日本の学習指導要領に基づいた教育をしていることを知り『一定水準の学力』が保障されていると思った。現行法制度でも認めさせる方法はあるし、各大学の自主判断に任せることも可能だ」と語る。

 海江田万里衆院議員も、「重い負担がのしかかっている外国人学校が寄付を集めやすい環境、制度的な後押しが必要だ」と述べた。

迫る来年度入試

 19日、東京都北区の東京朝鮮中高級学校を視察した池坊保子・文科省政務官は、「同じスタートラインに立たせて」と訴える同校生徒に対し、「実現できるよう力を注ぐ」と答えた。

 池坊政務官は、「やっぱり基本は学力。(教育水準は)進学するに十分ふさわしいと感じた。教科書も文科省の検定をパスしたものではないが、きちんとしたものを使っている。『反日教育をしている』と反対する議員もいるが、彼らこそまず実態を自分の目で確かめるべきだ」と主張した。

 日本の大学進学をめざす同校の趙俊顕くん(高3)は、「先輩たちのなかには大検やダブルスクールなどの負担を乗り越え、東大をはじめ名門校に進学した人がたくさんいる。朝鮮学校で一生懸命勉強している僕たちにとって、自分の学校が学校として認められないほど悔しいことはない」と憤る。

 これらの発言だけをみても、文科省の方針がおかしいということは明白だ。来年度入試が刻々と迫るなか、同省と国立大学はいつまでもこのような「声」を無視し続けるわけにはいかない。(張慧純、李明花記者)

[朝鮮新報 2003.6.28]