〈大学受験資格問題〉 池坊保子文科省政務官、東京朝鮮中高級学校を視察 |
「今日はここに来なければわからないことをたくさん知った。見たことを、帰って必ず関係者に伝える」−外国人学校生徒の国立大学受験資格問題と関連し、「引き続き検討中」だとしながらも、文部科学省の対応が鈍る中、同省の池坊保子政務官が19日、東京都北区の東京朝鮮中高級学校を1時間半にわたり視察した。同省関係者が「検討」作業の一環として同校を含め朝鮮学校を訪問するのは初めてのこと。3月末、保護者らとともに文科省を訪れた同校生徒の「ぜひ私たちの授業をみてほしい」との要請に、池坊政務官がその場で「必ず行く」と明言。この日の実現となった。(李明花記者) 「約束だから」 「公開授業(5月31日)の招待状を送ったが来られなかったので、もう無理だろうと思っていた。やっと実現し、本当にうれしい」。歓迎の花束を抱え、池坊政務官の到着を待つ李玉琳さん(高3)は声をはずませた。池坊政務官に「授業を見に来て」と願い出た本人だ。
午後2時半に到着した池坊政務官は、「約束通り来ました」と李さんとの再会を喜びながら、高級部の授業を見学。「おじゃましまーす」「みなさんの授業を見せてね」と生徒たちに声をかけながら、終始にこやかな笑みを浮かべ、各教室を見てまわった。 目ににじむ涙
授業参観後に行われた懇談会には、同校の具大石校長と6人の生徒代表、関係者らが出席し、生徒たちは口々に「同じスタートラインに立たせて」と訴えた。来春、国立大学への進学を目指す金翔一さんは、「合格できるよう一生懸命がんばります。今日は僕たちのありのままの姿を関係者に伝えてほしい」と語ると、池坊政務官は「みなさんの気持ちをしっかり受け止めたい。大学受験ができるよう、私は私の力を注ぎたい」と答えた。また教科書についても「(編さんする時は)日本の教科書を参考にしているのか」「日本に関する記述はどれくらいあるのか」などと質問した。 最後に音楽室で、高2、3年生がミニ公演を披露。民族管弦楽演奏「赤とんぼ」(朝鮮の民謡「アリラン」と日本の童謡「赤とんぼ」をひとつに合わせて編曲したもの)、女声重唱「アリラン」、日本の歌「見上げてごらん夜の星を」を聞きながら歌を口ずさんでいた池坊政務官は、生徒たちの一途な姿に思わず、目に涙をにじませる一幕もあった。 十分な水準、教科書
視察終了後、池坊政務官は印象などについて次のように語った。「生徒たちはとてもいじらしく、けなげで明るい。自分の意見もはきはき述べる」「(教育水準は)進学するに十分ふさわしいと感じた。教科書も文科省の検定をパスしたものではないが、きちんとしたもので教えている」「すべての子どもが平等に大学を受けられる社会を願っている。日本と朝鮮に国交がないのは不幸なことだが、そのような政治情勢に教育が巻き込まれてはならない。反対している人もまず、(朝鮮学校の)実態を見るべきだ」 [朝鮮新報 2003.6.21] |