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風間作一郎氏の基調報告

 やがて来る日朝国交正常化を考えても、拉致問題を解決すべきだという認識ではあるが、「救う会」のような過激な主張には賛同できない。

 もともと在日朝鮮人の帰国事業に携わっていた「救う会」の事務局長が、急に北を敵視する姿勢になったのは理解できない。彼らは何度も訪朝しているが、その時には拉致のことなど一言も問いただしていない。

 事務局長が前面に出ることで、拉致被害者の方々の具体的な状況や心情がよくわからなくなってきた。被害者の方々が「救う会」の人質になっている。

 拉致をはじめとする朝鮮バッシングにより、在日朝鮮人は地獄を見ている。拉致問題解決のための強硬措置のひとつとして行われた「万景峰92」号の新潟入港阻止は、正しいのかどうか甚だ疑問。

 周知のように、「万景峰92」号は日朝友好のシンボルであり、在日朝鮮人の祖国への往来を保障するものだ。「万景峰92」号の持つこうした2つの意味からも入港させないという今回の措置は間違っている。

 拉致に関しても言えるが、日朝間の問題には日本による朝鮮の植民地支配や強制連行など、過去の歴史があることを忘れてはならない。

 こうした本質的な問題には触れず、表面的なことばかりをデフォルメして朝鮮敵視を煽っているのが現状で、これでは拉致問題はもちろん日朝間に横たわった問題を解決することはできない。

 日朝間の問題を一番早く解決する道は国交正常化であり、この方向に世論をもっていくために今後も努力していきたい。

[朝鮮新報 2003.6.20]