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「学校」として認められない外国人学校−大学受験資格、助成面で差別

 「大学受験資格問題」が浮上してから朝鮮学校とほかの外国人学校との交流が増えている。学校設立の経緯や教育内容、認可の形態こそ違えど、それぞれの文化を大事にしたいという思いは同じ。しかし、日本の法律には「外国人学校」を保障する規定がないため、外国人学校は共通して助成、資格面で重い負担を強いられている。14日に行われたアンニョンフェスタ2003(東京中高)に初参加のブラジル人学校・コラージオ・ピタゴラス校とインドネシア共和国学校(東京都目黒区)、3年前から東京都内の朝鮮学校と外国人学校絵画展を通じて交流を重ねている東京中華学校(千代田区)を紹介する。(張慧純、李明花記者)

月6万円近い負担、入学断念も(ブラジル人学校コラージオ・ピタゴラス)

コラージオ・ピタゴラス群馬県太田校はアンニョンフェスタ2003に参加し、東京朝高サッカー部と交流試合をした

 ブラジル人学校増加の背景には、1990年の入管法改定によって日系人に対する在留資格付与条件が緩和されたことがある。日本に住むブラジル人は年々増えつづけ、01年末現在26万5962人と「朝鮮、韓国」「中国」に続く。

 定住化とともに家族を呼び寄せるブラジル人が増えた。その、彼らが直面したのが子どもの教育問題だった。当初は日本の学校へ通わせるしかなかったが、「本国に帰った時にポルトガル語を使えるように」と、ブラジル人学校の設立が続いている。ブラジル大使館によると、本国認可を受けている学校だけでも日本各地に25校。外国人学校中、朝鮮学校の次に多い。

 群馬・太田、静岡・浜松、愛知・半田、栃木・真岡、山梨・甲府、長野・上田に学校を持つコラージオ・ピタゴラス校は本国に学校法人を持つ。第1校目の群馬校は99年の創立。ブラジル政府の認可を受け、本国カリキュラムに沿った教育をしている。

 同校の最大の悩みは、「学校として認められていないこと」(太田校の教育コーディネーターのベラ・マリア・パイシャウンさん、57)、つまり「無認可校」であることだ。

 学校の運営は学校名と同じ有限会社が行っているが、最も悩まされているのは高い授業料だ。幼稚園から高校まで月額4万825円。そこに毎日の弁当代と送迎費、教材費が含まれると、月あたり6万円近い負担。負担の重さに入学を断念せざるをえない保護者もいることから、学費の割引制度も設けている。

 日本の大学への進学を希望する生徒も出てきているが、「学校」ではないため、大学受験も認められていない。最近、地元の群馬大学との交流が始まったが、「いろんな進路を選択させてほしい」(教員の加藤美栄さん)との思いは切実だ。

事業収入だけでは立ちゆかず(東京中華学校)

小学1年から中・日・英のトライリンガル教育を行っている

 日本全国に5つある在日華僑学校のひとつ。1929年に創立され、中華民国政府の認可を受けている。財団法人東京中華学校によって運営され、小、中、高学部に計331人が通っている。カリキュラムは6・3・3、2学期制で週6日登校だ。在日3世が中心だが、近年は日本国籍やニューカマーの児童、生徒による入学、編入が増加しており、日本国籍保持者は全体の75%を占める。

 「中国語教育を強化し、中華文化の継承を重視する。中、日、英3カ国語を兼ね備えた華僑の子どもの育成に努める」(陳哲燦校長)という教育方針のもと、国際化時代に対応できる能力を育成するため中国語、日本語と同時に小学1年から英語も教える。授業は日本語と英語以外は中国語で行っているが、日本社会に通じる学力を身に付けるため、中国語以外の教科書は基本的に文部科学省の検定をパスしたものを使用している。ただし、歴史、社会、地理の3科目に関しては中国の歴史と世界史、中国の社会と日本の社会、中国の地理と日本の地理というふうに2科目ずつ教え、前者に関してはいずれも本国の教科書を使用している。

 同校も各種学校扱いのため、朝鮮学校同様、不利益をこうむっている。2003年度高校部卒業生25人のうち、日本の大学、専門学校への進学者は21人だったが(その他4人は米国、台湾の大学へ進学)、大学受験資格がないため大検などの負担を軽減しようと高校部から日本の高校へ進む生徒も少なくない。そのほかにも、財団法人が運営するテナント収入や華僑社会からの寄付金だけではたちゆかず、財政問題とそれにともなう教職員の不足、教育設備の老朽化などの問題を抱える。

定期券、携帯の学割効かず(インドネシア共和国学校)

日本学校や地域住民との交流も積極的に行っている

 1962年の創立。インドネシア大使館が運営する日本で唯一のインドネシア学校だ。私立学校として本国の認可を受けており、インドネシア大使館や在日インドネシア企業、留学生の子どもたち70人が学んでいる。幼稚園から高校まであり、カリキュラムは6・3・3制だ。

 教育理念としては、インドネシアの言葉や文化をしっかり教えるとともに、地域や日本学校とのふれあいや交流をはじめ国際色豊かな教育を心がけている。2学期制で新学年度は7月から。

 児童、生徒たちは親の仕事の関係上、3〜4年の日本滞在がほとんどだ。インドネシア教育省の学習指導要領に沿った指導を行っており、教科書や期末テストなども本国から送られてくるものを使用するなど、本国に戻っても学習に支障がないよう配慮されている。

 学校ではインドネシア語が使われている。幼稚園からインドネシア語を習い、小学1年から日本語、小学3年から英語を習う。民族的な科目としては、パンチャラ国家5原則、宗教の授業などがあるのが特徴だ。課外授業では、インドネシアの民族楽器や伝統武道を習う時間もある。

 学費は親の収入によって負担額が4段階に分かれている。

 本国による援助はあるものの、日本政府の財政その他の支援はない。学校教育法上、無認可校の扱いのため、大学受験資格はもちろん、定期券や携帯電話の学割が適用されないなどの制度的差別がある。

[朝鮮新報 2003.6.19]