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〈外国人学校問題〉 大島衆院議員の再質問主意書と政府回答(上)

 大島令子衆院議員(社民)が今年2月13日に続き、5月7日に綿貫民輔衆議院議長宛てに提出した外国人学校に関する再質問主意書、それに対する小泉純一郎首相名の6月13日付答弁書の全文は次の通り。

 (大島質問)政府は、外国人学校の卒業者に対する高等学校や大学への入学機会の拡大について、平成14年3月29日に閣議決定された「規制改革推進3カ年計画(改定)」に基づき、平成14年度中の措置を目指してきたとしている。

 先に質問主意書を提出し、外国人学校をめぐる問題について、政府の見解を求めたところであるが、なお、基本的な部分で政府の考え方を理解するに足る回答は示されていない。従って、次の事項について再度質問する。

 1、文部科学省は「大学入学資格の拡大」に関し、平成15年3月7日から3月27日までの間、インターネットのホームページ等を通じ意見を募集している。この結果をみると、1万3343件の意見の内、「アジア系の外国人学校卒業者にも大学入学資格を付与すべき」などとする意見が1万2779件あり、これは寄せられた意見の約96%である。文部科学省はこのことを受けて、「当初の対応案に加え、アジア系等の外国人学校の取扱いについてもどのような対応が可能か検討する必要があると考えており、引き続き検討していきたい」と説明しているが、いつまでに結論は出されるのか。

 また、結論を出すに当たって前述のパブリックコメントのほとんどが「アジア系の外国人学校卒業者に対し大学入学資格を付与すべきである」としていることについては、尊重されるのか、明らかにされたい。

 (政府回答) 外国人学校の卒業者に対する大学への入学機会の拡大については、現在検討を進めているところであり、結論を出す時期について現時点でお答えすることは困難である。この検討は、本年3月に公表した、国際的に実績のある評価団体により教育内容が一定水準にあるとの評価を受けた外国人学校の卒業者に対して大学入学資格を与えるとの当初の対応案に対するパブリックコメントも含め様々な意見を踏まえて行っているものである。

 (大島質問) 2、本年3月31日、文部科学省は税制上の優遇を受ける「特定公益増進法人」の対象として、主に短期滞在者の子女に対して教育を施すことを目的とし、かつその教育活動等について欧米系の4つの学校評価機関の認定を受けている外国人学校のみを新たに加えるとする告示(第59号)を出した。

 これにより上記の要件に該当するインターナショナルスクールの多くは税制上の優遇を受けることになる一方、同じ外国人学校でも日本に定住する外国人の子どもたちが多く通うアジア系の民族学校等は、税制上の優遇を受けることができないままとなった。

 なおこの文科省告示は同日に公布された所得税法施行規則および法人税法施行規則の一部改定省令において、「特定公益増進法人」に、「初等教育または中等教育を外国語により施すことを目的として設置された各種学校」を加えるとし、さらにその各種学校は「文部科学大臣が財務大臣と協議して定める基準に該当するもの」としたのを受けて出されたものであるが、「外国語」による教育を施す各種学校という基準を設けたにも拘わらず、わざわざ告示でアジア系民族学校等を排除した形になっている。

 言うまでもなくこのような線引きの仕方については、大学入学資格問題においても不当な差別であるとの批判が多くなされていたところであり、このため同問題について文科省はアジア系民族学校等を排除しない方向で再検討をすることを表明するに至っている。

 このような中で出された今回の告示により、アジア系民族学校等が排除されたことについてどう考えているのか。

 また排除された外国人学校に対する適用については現在どのような検討がなされているのか。

 検討しているならばその結論を何時までに出す考えなのか。

 (政府回答) ご指摘の特定公益増進法人に係る平成15年度税制改正においては、所得税法施行令(昭和40年政令第96号)、法人税法施行令(昭和40年政令第97号)等の一部改正等を行ったところであるが、これは、対内直接投資を促進し、海外から優秀な人材を呼び込むうえで重要な役割を果たしている各種学校の整備、充実を図るという政策目的を実現するために一定の法人を特定公益増進法人の範囲に追加したものであり、合理的な措置であると考えている。

[朝鮮新報 2003.6.17]