かつての南の反共教育彷彿させる日本の朝鮮報道−「日韓言論緊急シンポ」いびつな姿勢に批判集中 |
既報のように、「日韓緊急言論シンポジウム〜朝鮮半島を第2のイラクにしないために」が5月28日、東京都文京区の全労連会館で行われた。シンポでは現情勢下でのジャーナリストの役割について話し合われた。 核問題の責任は米に 全般を通じて強調されたのは、日本メディアの朝鮮報道についてだった。 立教大学の李鍾元教授は基調講演で、「『北朝鮮カード』は日本にとって万能のカード。最近の日本を見ていると、韓国で受けた小中学校時代の教育内容(反共教育)を彷彿とさせ、ある種の懐かしさを覚える」と皮肉を交えて語りながら、「北朝鮮問題を冷静かつ客観的に見ることが日本の課題」と指摘。「脅威」と感じ距離を置く日本と、共存と繁栄を目指す南の間で朝鮮に対する認識の差が大きくなっていることに気付くべきだと強調した。 基調報告を行った南の梁文錫全国言論労組政策専門委員は、「『北の核』という言葉は米国や韓国の保守言論が使うもので、責任の所在を明らかにするためにも『韓半島核危機』と表記すべきだ」と強調。94年のジュネーブ合意を先に破ったのは米国であり、今回の核問題も米国がもたらしたものだと指摘した。 一方、昨年6月の米軍による女子中学生れき殺事件を悼んで行われているロウソクデモを、「反米行為」と見なしている朝鮮、東亜、中央日報など保守言論を批判しながら、このような保守言論を日本のメディアがそのまま引用、それを拡大再生産して南の保守言論がまた引用している事実を強調した。 日本のメディアが南の言論を引用する場合、朝鮮、東亜、中央の保守言論が98%を占めていると述べ、南ではこれらの言論は取るに足らない「チラシ」と見なされており、これを引用する日本のメディアも「チラシ」になると指摘した。 公正さ欠く「北の脅威」 同じく基調報告を行った朝日新聞編集委員の藤森研氏は、日本の朝鮮報道は「脅威論」と共に「困り者視」がベースにあると述べながら、これが有事法制など日本の「表層雪崩」の原因、結果になりうると危機感をあらわにした。そのうえで、憲法第9条を支持する市民が74%にのぼるなど、底層には平和と民主主義への意識が根付いていると指摘。その一方で排外主義も少しずつ台頭しつつあると付け加えた。 午後から行われたパネルディスカッションでも、日本のメディアの朝鮮報道に批判が集中した。 「核問題を誇張するきらいがある。この問題の始発点はエネルギー問題であること、ブッシュ政権により北の生存権が脅かされているということを知るべき」(李在熙釜山日報記者)、「原子爆弾を造るには相当な高等技術を要する。そうしたことには一切触れず、『北の脅威』ばかり強調するのは公正ではない」(孫琯洙KBS記者)など、南から見た日本の報道は異常なものに映るようだ。 そのうえで、朝鮮半島の核問題は対話によって解決されなければならず、そのためにもジャーナリストが連帯を強めることが先決だとの意見で一致した。(李) [朝鮮新報 2003.6.6] |