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〈大学受験資格 国立大学から〉 竹沢泰子・京都大学助教授

 大学受験資格を一部インターナショナルスクール(以下インター)に限るとする新たな差別を政府がしようとしたことが外国人学校の児童、保護者たちに残した傷跡は大きい。それは長期的には、文部科学省と国への不信感という自らへの傷跡ともなる。

 文科省は現在は検討中としているが、調査すればするほどインターと他の外国人学校との間に差異を設ける根拠はないということが明らかになり、区別の壁が崩れていくだろう。

 人種概念と人類学との歴史的関係について研究を進めている研究者として、国立大教員として、一市民として、この問題を見過ごすことは差別に加担することになるとの思いから、民族学校出身者に受験資格を求める国立大学教職員の賛同署名呼びかけ人に名を連ねた。個人の力では難しいが、他の国立大学教員とネットで意見交換しながら動けたことは、1つの成果だと思う。

 今後は国へのアピールを続けながら、それぞれの大学現場で、例えば学内の教授会などで問題を提起し、認識の共有をしていきたいと思っている。

 各大学が独自の判断をした場合、文科省の圧力を懸念する向きもあるが、京大が国立大で初めて大学院レベルでの合格、進学の道を開いた例もある。当時もさまざまな圧力が懸念されたが、結局は突破口を開くきっかけとなった。

 自治体レベルでは朝鮮学校の子どもを犠牲にしてはならないという意識が高まっているということも忘れてはならない。

 国内においては、阪神大震災後の神戸のエスニック集団関係の変化についてフィールドワークを行っている。その一環として朝鮮学校にも訪れ、授業料や交通費など非常に大きな犠牲を払いながら、それでも民族教育を受けさせたいという親の思いの強さに心を打たれた。機会があれば一度授業も見たいと思っている。

 調査の過程で、震災後に神戸初中と地域住民の助け合い、信頼関係が深まり、同校の校門前に地域住民の働きかけによって横断歩道が作られたことも知った。実際そこを歩いたとき、深い感動を覚えたが、この横断歩道と信号機のように、協力することによって解決できることはある。

 明らかに差別的な方針に、「いまだにか」と衝撃を受けているであろう朝鮮学校の子どもたちに「すべてがそうではないし、大多数の人が差別を食い止めたいと思っている。意識の高い人、サポートしてくれる人もたくさんいる」とエールを送りたい。(まとめ、編集部)

[朝鮮新報 2003.5.31]