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総連京都、民団京都、京都市共同事業コリアサロン「めあり」−今年度事業ハングル塾スタート

 6.15共同宣言の精神に沿って進めてきた交流を、民族、文化的にさらに深めていこうと総連京都府本部と民団京都府本部が企画、その幅を広げるためにと京都市国際交流協会が主催団体に加わった共同文化事業コリアンサロン「めあり(朝鮮語で『こだま』の意)」。2003年度行事として、ハングル塾(初、中、上級)、朝鮮半島ゆかりの史跡見学会、朝・日関係史セミナーなどが予定されている。その口火を切って、14日からハングル塾が始まった。講師は交流協会事業課の鄭昌根(初級)、児童文学者の韓丘縺i中級)、京都韓国教育院院長の崔徳燦(上級)の各氏。各クラスとも来年3月まで、週1回行われる。17日の上級クラスの授業をのぞいて見た。(千貴裕記者)

 会場の京都市国際交流会館には、授業開始の午後7時前から受講生たちが集まり始めた。上級クラスでは主に日常会話の応用を学び、ハングル検定合格を目指す。水準が求められるクラスだけあって受講生は15人。在日同胞に加えて日本人の姿も。20〜30代、それも圧倒的に女性が多い。

 授業開始。授業はすべてウリマルで行われる。流ちょうな発音で、丁寧かつゆっくりと受講生たちに言葉を投げかける講師。受講生たちは、講師が口にする一字一句を逃すまいと、真剣な面持ちだった。8時30分まで1時間半の授業はあっという間に過ぎ、非常に短くさえ感じられた。

 今回が初めての授業ということもあって、講師と受講生とのコミュニケーションにはぎこちなさも感じられたが、授業を終えた受講生ひとり一人の表情には満足感が漂っていた。

 朝鮮語の能力をさらに磨きたいと受講した十塚千景さん。「今までは初級クラスでの経験しかなかったので、ぜひ受けてみたかった。3団体が共催していることはすばらしいと思う。今日は勉強になった。文化事情なども勉強していきたい」と意欲を語った。

 伏見区から来た金珠江さんは、姉が申し込んだので共に参加することにした。姉は中級クラス。「総連と民団、そして交流協会の3団体がこの事業に取り組んでいることに、同胞の一人として大変喜ばしく、誇らしく思っている。日常生活の中でウリマルをまったく使う機会がない中、久々にウリマルの『シャワー』を浴び、とても楽しかった。懐かしくも感じた。日本の友だちに頼まれている朝鮮語の本の翻訳に役立つようしっかりやっていきたい」と笑みをこぼした。

 終始一貫、朝鮮語での授業だったのでちょっと難しかったという森直子さん。「とてもいい企画だ。語学だけじゃなく、朝鮮半島全体も学べる場になったらいいし、それで理解がもっと深まればなおさらいい。がんばって続けていきたい」と感想を述べていた。

 この日、会場の受け付けには総連と民団、交流協会3者の関係者たちが立ち、受講者らに対応した。

 コリアンサロン事務局では、同サロンが主催するすべての事業に3団体の関係者が参与することを決めている。

 事業が始まると、何かと人任せになりがちだが、事務局では3団体が主催する以上、企画や準備、運営のすべてに至るまで3団体が責任をもって行うことを確認している。だから現在、週に3回ハングル講座が行われているだけに、少なくとも週3回は3団体の関係者が顔を合わせることになる。

 6.15共同宣言の精神に沿って互いの立場を乗り越え交流を深めてきた総連と民団との交流を蓄積してきた交流協会。3者の共同作業は、この地域での在日コリアンと京都市民のさらなる友好と交流を促進するかけ橋になることが期待されている。

良き隣人としての役割を

 京都市国際交流協会の目的は、京都地域における国際化の促進と多文化の共生を図ること。その目的のもと協会は今まで総連、民団両団体に個別レベルでさまざまな協力を得て共同事業を行ってきた。

 現在、国レベルの関係は決して良好ではないが、こういう時だからこそ両団体との交流を進めたいと思った。2つの団体が一緒にいろんな事業をしていくことは京都における国際化の推進にもつながる。

 「遠くの親類より近くの他人」という言葉があるが、コリアンサロン「めあり」が京都市における在日外国人登録者の数が一番多い朝鮮、韓国籍の人々と京都市民とが互いに尊重し、信頼できる良き隣人として真の共生社会を築いていくことに大きく貢献することを期待している。来年以降も、可能な限り3団体がスクラムを組んで事業を継続していきたい。(薦田守弘、京都市国際交流会館館長=70)

[朝鮮新報 2003.5.24]